春夏秋冬
□プロローグ〜春〜
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「はぁ、はぁ、はぁ…」
先ほどの場所からどれだけ走っただろうか。2人は今一本の大きな桜の木下にいる。
「ハァ…これで暫くは…(しかし、いずれ追いつかれる…)」
「…連太郎さん?どうかしましたか?」
「いや、なんでもない。それより凄いな此処は…色んな花が咲いてるし、何よりサクラが綺麗だ」
「フフ…。そうですね。此処は季節によって色々な花が咲くので有名らしいですよ」
その言葉を聞いてかどうかわからないが連太郎は悲しそうな笑みを浮かべる。
それに気づいたのか桜は連太郎に訪ねる。“どうしてそんな顔をするのですか?”と。
「…こんな形で此処に来ると思ってなかったんでついな…」
「連太郎さん…」
「なあ、桜…。約束しないか?」
「約束…?いきなりどうしたのですか?」
桜は驚いたようににききかえす。
「あぁ、この先また逃げることになるだろう。だが、逃げるには限界がある。だから俺は此処で…」
と連太郎は言葉を切り、懐からある物をとりだす。
「それはっ、連太郎さんまさか…」
「あぁ、そのまさかだ。」
そう。連太郎が懐から取り出したのは、懐刀。どうやら此処で、心中するつもりらしい。
「…約束してくれるか?」
「……はい…」
と桜が泣きそうな声で返事をすると連太郎は優しく桜を抱きしめる。