春夏秋冬
□プロローグ〜春〜
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草木も眠る丑三つ時、普段ならこの時間この場所は人っ子一人いないが今晩は違った。
「…あっ!」
「!!大丈夫か?桜」
高いソプラノ声に低いテノール声。 そして月明かりに照らされて地面には2人分の影が薄っすらと映っていることからどうやら2人は男女、しかもそのうちの1人は“桜”と言うようだ。
「はい…。全然大丈夫です。」
「そうか、良かった。じゃあ行こうでないと…「いたぞ!あそこだ!!」っ…しまった」
どうやら2人は追われて居たようだ。しかも、2人や1人ではなく沢山の明かりがこちらに迫って来ている。
「…連太郎さんっ」
「あぁ。わかってるっ…走るぞっ!」
と言うと男性ーー連太郎は女性ーー桜の手を引き走り始める