06/01の日記
03:46
左近の桜 / 長野まゆみ
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武蔵野にひっそりとたたずむ
1軒の古屋敷
そこは世間をはばかる
逢瀬のための隠れ宿「左近」である。
16歳になる長男の桜蔵は
最近どうも奇妙な男にかかわることが多い
生まれながらの性質なのか
その気もないのに
この世ならざるあやかしたちを
引き寄せてしまうのだ
彼らは入れかわり立ちかわり現れては
桜蔵を翻弄するのだが……。
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題名にすごく惹かれて
この本を手に取った。
左近という宿の長男「桜蔵」が主人公のお話。
初めに話しておくが
ちょっとBLチックな部分が
含まれている内容だ。
左近は普通の宿ではない。
世間をはばかる逢瀬、つまり
男同士がしのびあう宿。
宿の手伝いをする桜蔵は
なぜか男に言い寄られる。
それを桜蔵の父「柾」は
桜蔵は女だからだという。
本性が女。
当の本人は 不本意な態度に
いらだちを感じつつも
少しずつその変化に
諦めつつある気がする
その変化をうまく感じ取れる
柾の鋭さがとてもいい。
テンポよく進む話に
ページはどんどん進んでいく。
この続きはないのかなと
少し名残惜しいのが
この作品の良いところかも。
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最初はこういう描写のもの
(男性同士のもの)が苦手だったので
失敗だったかな?
と思っていましたが
進むにつれて
人間の感情や欲望
そしてひとならざぬものの存在が
うまく絡み合っていて
素直に面白いと思いました。
桜蔵や柾、弟くん、先生、母や宿の人たち
それを取り囲む複雑な関係性にも
注目してほしい。
こういう現実もありなのか?
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