tusk

□年下の彼
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キャラクター

なんてもの、を考えていた


僕は皆さんの末っ子
猫なで声で甘えて
少し首を傾げて、えぇっと…

「ありがとうございます」

そうだそうだ
こう言っておけば取りあえず大丈夫だろ
暑くてやってらんねーよ、とか
そのベタベタの腕絡めないでよ、とか
封印封印
つかなんで外歩かせんだよっ、なにこの日差し
あー、すげーやる気ネー…、アイスとか食べて寝たい
いやビール飲みてぇ…、辛いチキン
いやいっそツマミも要らねーわマジ。
サングラスもさ、これ自体が鬱陶しくね?、ぁ…、もう暑ちぃ
汗が目に入った



僕はイライラと目をこすりながら
先に行ってしまったヒョン達を慌てて追い掛けた



ドンッッ


あ。




腹に衝撃
僕の臍上程の少年がぶつかった衝撃で転がった


え。

しかも、その上に降り注ぐ様に落ちる
菓子袋やカップラーメン

「っ、ちょ、キミ?」



スタジオからスタジオへ移る、大きな建物の曲がり角だ
僕が手を伸ばすより早く、コンビニの店員らしき人がやって来てその少年を掴み上げ
殴った



あまりに突然の事で僕は面食らった、がどうだ
その子は唇から血を流し微動だにしない
僕はそのアルバイト風の店員と彼の間に割り入った

「っ、!ちょっと待って
この子いま、僕と鉢合わせて、見てよ
気を失ってるじゃん
そんな子に手を上げるなんて…っ、」
「万引きだよ!分かるだろう、さぁ!」
男は尚も意識の無い少年を掴み上げる

無造作に流れた長めの髪で、その表情は見えないが
時々浮かぶその赤色の唇が【助けて】
そう動いた気がした

「っ、あー!!じゃぁ、ほら!」

僕はとっさに手を叩く

「僕もこのまま彼を連れて行かれたら困る
後からどんな請求をされるか分からない、でしょ?」

店員の男はチカラを緩めて訝しげに頷いた

「…、えぇっと…」
僕は明らかに多めに札を出し彼に渡した

「商品代、今日は僕が…
お釣りはほら、何か、の足しに」


男は少年の髪をもう一度揺らし投げつけるように放すと
そのまま行ってしまった





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