シリーズ
□越える
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手に毒を帯びるスキル『毒手切手(ミザリィ・マイレージ)』。私は所持していたそれを即座に融解させ、右手で手刀を食らわせた。
さらに、足を針山にするスキル『蹴針刑(ガッシュ・テンペスタ)』を融解。手刀を食らわせた直後に針山と化した足で蹴りをいれる。
勿論、これで逃げられるとは思っていない。すぐに二つをスキルに戻す。
なにぶん、私はスキルを「所持するだけ」でそのままでは扱うことができないのだ。けれども溶解している間は常時発動、手足同然に扱える。
簡単にいうと、融解がオンオフの切り替えスイッチなのだ。
無駄を省くスキル『独走かい(ラジカル・レコード)』
痛覚を倍にさせるスキル『痛点拡(ダスト・ペイン)』
身体の一部を銃に作り替えるスキル『移植銃(ロンリーギャング)』
異論を弾丸に変えるスキル『弾列在(カット・ダウン・ショット)』
無理矢理納得させるスキル『遺棄地獄(ブラッディ・キャンディ)』
質問に答えないスキル『守語自答(ロストアンサー)』
今のこの状況下で有用できるのはこれだけだろう。私が集めているスキルは、面白そうなものだけだから。
けれども、それなりの対抗スキルを持っているだろうから、『痛点拡』や『遺棄地獄』は当てにしていない。
何より、今がいつだか知らないけれど……あの一時間後、森に行くように錯悟くんから頼まれたんだ。どこにいようと、あそこに戻ることは出来る。問題はどれだけ離れているのか。
とにかく、私は何が何でもあそこへ向かう!