シリーズ

□だから
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 偽造に至っては、本当に名前が気付いてないから危ない。言彦だったら名前が上手いこと乗せられちゃいそうだし、幻実の場合は紫の上の逆パターンといったところか。

 偽造のことは傀儡にちくったら小一時間で片付くだろうけど、本当に「居るだけ」で全くの無害だからか中々言い出せずにいる。

 そして、幻実。あいつはいつか絶対やらかす。言彦は最近破壊自体をしなくなってきたし、まだ物分かりがある。でも幻実は駄目だ。不知火の里内では、あいつが一番危ない。

 里の外だと……いつしてもおかしくないけど確実に下剋上に失敗するぼっ……鶴喰鴎とか、今は学生をやってるらしい半纏さまとか……

 危ないって言われたらしくて名前だけいなかったし、鶴喰は確実に危険人物だ。名前とのパワーバランスさえ考えなければ。

 ああ……そういえば、まだ終わってないんだったっけ漆黒宴。もうかれこれ一週間。一体いつまで粘るんだろう……

 まあそれはいいとして、とにかく……問題はないと思いたい。

「だから、家に居たら遠からず危ないんだ。名前を、ここから引き離してほしい」

 こんなことを言っている僕だって、いつまで保つか分からない。でも、だからこそなんだ。だからこそ言っている。

 不知火の本能に負けるその前に誰かのものになっちゃえば、少なくとも僕はトレースなんてしようとしない。弱虫な僕には、そこまでできないから。

 何の取り柄もない普通の家庭に、普通の親から生まれた、スキルに干渉するスキル持ち。天然物の不知火。

 才能をスキルに変えるのだって、スキルを作り出すと言い換えても全く過言じゃない。タイムラグが全くのゼロだということを考えると、下手すれば半纏さまと同レベルだ。

 つまり、希少種。
 
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