シリーズ

□だから
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 僕は体術もそれなりにできるけど、どちらかと言えば精神攻撃が得意だ。とはいっても……さらっと毒を吐く幻実のほうが得意な気がするけど。

 でも、心中を察したりだとか、嘘を見破ることに関しては、僕のほうが上だと自負している。だから、分かるんだ。

 こいつも彼女も、真っ直ぐだって。

「えっと……ルールが厳しい実家で、だから、早いところ嫁に行っちゃったほうがいいんだ」

 石化をグーで解かされた男子に、僕は上手いこと不知火のことを誤魔化して説明をした。それを聞いて、男子は……もうアイクでいいや、アイクは本当に困った顔を見せた。

「いや、でも僕、まだ年が……卒業まであと一年とちょっとあるんだ」

「年なんてどうにでもなるさ……でも、名前のほうはもう十分な年なんだ。そんなうだうだしてたら……誰に取られたっておかしくないよ」

 姉ちゃん姉ちゃん言ってる幻実だって、嫁に行かせない発言かました言彦だって、ステルスストーカーの偽造だって……正直な話、皆危ない。

「誰に取られたって、とはどういうことだ。説明が欲しい」

 僕の言い方が気になったのか、会話には傍観する姿勢でいた女子が尋ねてきた。

「僕達は皆……名前を気に入っているんだ。個人としても……個体としても……」
 
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