シリーズ

□だから
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「駄目だ、あの変態的なテンションが嫌だ……生理的に」

「……ああ、そうだな」

 口で言うほど僕は気にしていないが、メラリーにとっては苦手な部類。黒神真黒の変態オーラに無表情のまま冷たい目をしていたメラリーがお袋並に怖かった僕は、端的な診断結果だけ聞いて話を終わらせた。

 僕は、どうしてもあの森で会った子が頭から離れなくて、だからカウンセリングを受けたのだ。一人じゃ心もとなくて、メラリーに付いてきてもらったけど。

 そのメラリーが感慨深そうに言う。

「しかしお前が恋をするとはな……なるほど、実は文明人だったのか」

「……あれ?メラリー?」

「だがなロード、その森にもう一度行ったところでその子に会えるとは限らないぞ。あと行くのなら私を連れていけ。料理で釣りあげる」

「えっと……メラリーさん?」

 メラリーは僕を放置して一人で話を進めている。っていうか料理で釣るって!

 いろいろ言いたいことはあったけれど、応援(?)はしてくれるようだったから、僕は何かを尋ねられるまで黙っていることにした。

「しかし、あの辺りは地図に乗っていないから、何かがあるかもしれないな。……ほら、ここの森だろ?」

 バサッと広げられた地図に、僕は口元をひきつらせた。自慢じゃないが、僕は地図といったものを読めた試しが一度もない。

「……悪い、メラリー。僕、地図読めないんだ」

「………」

「いやっ!こ、この辺かな!なんとなく、こんな感じ、だった……し……」

 寒気を感じた僕は慌てて言い直す。僕はもう半泣きだった。

 メラリーはこういうところがお袋に似てる。この、無言の圧力をかけてくる辺りとかが特に……。

「……ふむ、なるほどな。大体分かった。今日の放課後に行くぞロード」

「ま、待てよメラリー!まだ心の準備が──」

「心の準備が、何だ?」

「……何でもないよ、あはは」
 
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