シリーズ

□まいった
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 居間でちゃぶ台を囲むように座り、僕らはそれぞれPSPに向かっていた。言彦の存在感が異常。

「久しぶりだから……妥当にレイアでも行こうか?」

「名前、レイアとは何だ」

「竜だよ、リオレイアって女王。性別違いでチキン、別名リオレウスってのもいる。火吐くよ」

「あっ、私レウスの防具がもうちょいで揃うからそっち行きたい」

「じゃあチキン……じゃなくてレウスのG級で」

「待て君達。いきなりG級とか一体何を考えているんだ。私の下手さを忘れたかッ!!」

 バアアン!といきなり名前がちゃぶ台を叩いた。

 確かに名前は下手くそだ。雑魚相手に体力削られて、よく死にかけてる。下級クエ(スト)のドスファンゴ(でかい猪)も満足に倒せない。

 でも、ナルガ(素早い)は楽々倒してるんだよな。ドスファンゴよりは遙かに強いはずなのに。

「そういやそうだったな……じゃあ、他のエリアで採掘しててもいいから。でも一応持ってけるだけ回復薬持ってけよ」

「了解だ」

 クエストは、下級上級G級のどれでも三回死ぬと失敗となる。通称、三落ち。どれだけ僕と幻実が攻撃を受けず、尚且つ与えていようと、名前が三回死んだら元も子もない。

 プレイヤーは一心同体。ある意味、護衛というハンデを背負いながら戦うこととなる。とは言っても、大概は他のエリアに居させれば問題ないけど。

 と各々がクエストに向けて武器や防具、持ち込むアイテムを準備し始めたところで、言彦が突然自分の膝を軽く叩いて名前を呼んだ。
 
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