シリーズ
□まいった
2ページ/10ページ
「名前」
「ん?ああ」
そういえば、言彦はモンハンをしたことがない。
F-ZEROもぷよぷよもボタン配置やルールさえ覚えればできるようなゲームだった。(言彦はできすぎていたけど。)でも、モンハンは属性やエリアの寒暖を考慮したりしなければならないし、武器の種類と一緒にそれぞれの攻撃のパターンが複数存在する。
流石の言彦も一筋縄ではいかないだろうし、まずその辺のことを知らなければならない。だから、名前を呼ぶのは当然だけど──
──何で今膝を叩いた。
「えっと?……ああ、何だそこか」
名前はちょっとだけ立ち上がると、言彦があぐらをかいているところに腰を下ろした。何でもないかのように体育座りになって、言彦の(持っている仮輝の)PSPの画面にその視線が落とされる。
「ここか?」
「そうだ、中に入れ。□ボタンだ」
「………」
何を平然と座ってるんだ!しかも慣れてる……!?
この前までのあの名前の言彦に対する殺伐とした雰囲気はなんだったんだと言いたい。本当にどうした。態度が違いすぎる。これは流石に幻実も黙っていないだろう。
そう思って幻実のほうを見ると、魂が半分抜けていた。