シリーズ

□このままじゃ
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「おっしゃー!勝ったー!」

「くそっ!幻実くんなんて負かしてやるッ!」

「潰す……次は潰す……」

 一位が幻実くんで、私と錯悟くんは二人揃って同時にKOされてしまった。

 CPもいたけれど、あんなもの蚊帳の外だ。レベル9だろうと、かなりやりこんでいる私の敵じゃなかった。

 私が得意なのはレースゲーム、幻実くんがパズルゲームで、錯悟くんがホラーゲーム。見事にジャンルがばらけているのだ。

 だから、この三人でゲームをする時は、自然とスポーツや格ゲーというチョイスになる。

 今やっているのはスマブラで、早い話、自分以外のキャラを場外に吹っ飛ばしたりリンチしたりするゲームだ。あと、ピーチのパンツを覗こうとしたり。誰だってそーする、私もそーする。

 ところで、影武者というものは案外いい。影武者をする相手に金があって尚且つ手引きをしてくれたら、学校なんて入学し放題だ。錯悟くんみたいに自力で頑張る人も中にはいるけれど。

 私は誘われたけど、里にいたくなったから断った。呼ばれた時に行けけばいい……っていうか、まあたまに学校の終わる時間に迎えに行ってる。

 ジャンプの話をしながら帰って、手料理を振る舞わせて、そうそう、意外と上手いんだあいつ。流石ぼっち……じゃなかった、隠し子。

 で、たまに朝までジャンプに関して討論して……あれ、これ影武者じゃなくて、ただの友だちか?

 とにかく、私の毎日は充実している。いや、充実しているということに「気付けた」。
 
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