シリーズ

□このままじゃ
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「っていうか姉ちゃんさー、本当に大丈夫なわけ?」

 ステージの選択中、幻実くんが尋ねてきた。

 大丈夫だって?ふん、愚問だな。

「メンタルなら間に合ってる」

「メンタルじゃねーよッ!」

「何でいきなり口が悪くなったんだ幻実くんッ!」

 思わず驚いてそう言うと、「これも素だッ」と返されてしまった。

「ずっと一人称が私で口悪くないと思ったら大間違いだからな。俺だとか僕だって使ったりする。私は里(ここ)でも桃園幻実続行中なんだ。私の他には傀儡だけかなー──っと、ステージは終点でいいよな」

「……さっきも終点だった」

「んじゃ、ハイラルでいっか」

「何で一番狭いステージから一番広いステージになるんだよ!」

「気分」

 幻実くんを一目見ると、相変わらずのつんとした態度で画面を見ていた。もう、ゲームが始まる。Goの合図と共に、操作キャラクターがそれぞれ好き勝手に動き出す。

 私の使用キャラはアイクだ。火力は申し分ないが、脚が遅い。最近使い始めたものの……うん、次からリュカに変えようかな。

 ちなみに、錯悟くんはスネークで、幻実くんがサムス。後者は明らかに脱がす気だろう。

 そして、この手のゲームは総合的に見て、おそらく錯悟くんが一番強い。錯悟くんのプレイするホラーゲームは、大体アクションだからな……。

 さっき幻実くんが勝ったのは九割方、カービィで卑劣な手を使ってきたからだ。

 プレイしたことのある人なら分かるだろう。Bの吸い込みで相手を口内に吸い込んだ後、ステージから落ちて心中。頑張れば自分だけの復帰も可能。

 流石幻実、汚い。
 
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