シリーズ

□変われない
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「……なら、何で……来なければいいでしょう。私のところにだなんて。いいですか?私は貴方が大嫌いなんです」

 心の壁を壊されたくない私は、必死にその手を傷付ける。壁を突き崩されないようにと。

 それでも、彼女は一歩も引くことをしなかった。本当に、年相応の精神を持たない中学生だった。

「ぶん殴られたって構わないから、これだけは言わせてもらうぞ。私は、お前に同情しているんだ」

 殴る気は起きなかった。その程度のことでどうして拳を痛めなければならないのか。それに罰がある。

 そのことを差し引いても、とてもこの少女を殴る気には なれなかった。

「役を演じないとってのが、どうにも私には……耐え難い。へらへら笑ってるのだって、役のことを知る前はただの嫌みだとばかり思ってたさ」

 恐らく、腹の踏み痕を見た後に誰かに尋ねたのだろう。だから、まるっきりではないものの、今日は態度が変わっていた。そういうことか。

「──だから、私も役を受けることにしたんだ。里の外では鶴喰名前になるから、もし会っても無視するなよ!」

「何をしているんですか貴方はッ!」

 気がつけば、私は彼女に掴みかかっていた。不知火として育ってきたわけでもない人間が、そんなことを出来るはずがない。

「貴方は不知火ではないのに!どうして、役なんてそんな──」

「いいんだよ、私は君と仲良くしたい。理由はそれだけで十分だ」
 
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