シリーズ
□変われない
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「私は中学生だこのスカタンがァーッ!!!」
思いきり殴られた頬を手でさする。そう、あの子供は中学生だったのだ。その上、受験生。そんなわけで、自分とは六つしか離れていないことが判明してしまった。
しかし、パーで叩くのではなく、グーで殴ってくるとは……しかも全力。そして、話し方が中学生のそれじゃない。
最近の子供は恐ろしいと私はため息を吐いた。七つ離れている錯悟は、好奇心からか私に千年殺しを……いや、いい。あれは思い出さなくていい。とにかく恐ろしいのだ、子供という生き物は。
とにかく、私は子供が大嫌いだった。
「さ、さっきは……私が悪かった」
「……ああ、ありがとうございます。大丈夫ですよ、平気です」
必要以上の干渉を避けたくて問題ないと首を振ったが、子供はぴくりと肩を揺らして壁にダンッと拳を叩きつけた。
「そんなはずがあるかッ!私に殴られた奴らは一人残らず救急車に運ばれていったぞッ!」
一体何をしたんだ。
いや、殴ったのは分かるが……それはもはや女子のなせる業ではない。
それが例のスキルかと思ったが、スキルに干渉するスキルのはずだからそれは違う。ただの純粋な身体能力か。
子供は湿布やらなんやらを手に持ち、私の手当てをしようとしてくるが、今更したところでもう遅い。私の身体は──
「逃げるなッ!」