シリーズ

□それだけで良かった
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「聞いてくれよ錯悟くん!私は今日、素晴らしい人に会ったんだ!傀儡のやつに邪魔されてしまったがね!」

 頭に包帯を巻いたまま、名前が部屋に飛び込んできた。

 まさかそこまでの元気があると思っていなかった僕は彼女のタックルを食らったものの、壁に手をついたことで事なきを得た。

「ふふん、まあそうだね。とりあえず、順を追って説明しようじゃないか」

 うわ……面倒くさい。

「私が二つのスキルを持っているのは知っているね?」

「才能を……誘拐するスキル……と……スキルを融解……するスキル……だよね」

「才能をスキルに変え、スキルを才能に変える。どこぞの徴税なんて目じゃないね!これは、この私以外の奴にも使ってやることができるんだから」

 流石、天然物の「不知火」だと思う。名前は生まれつき、スキルそのものに干渉するスキルを持っていた。

 半纏さまが拾ってきたのもよく分かる。肝心の名前は「迷い込んだ」って思わされているようだけど。

 でも、あの時の半纏さまは少し怪しかった気がする。とは言って言っても僕の中にある、この憶測を口にしたら……十中八九殺されるだろうね。

「それで、里の近くの森で見つけた猟師が凄腕の持ち主でね、だからそれで貰っちゃおうと思ったんだが……傀儡のやつが名前が影武者してたぼっちに変装……っていうか、まあ……傀儡が成りすまして邪魔してきやがったんだッ!」

 それはただの犯罪だ。グッジョブ傀儡。

 そのまま、名前の話は脱線し、傀儡への恨み辛みへと路線変更した。
 
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