シリーズ
□そこにいるだけで
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役を終えたから仕方なくこっそり帰ってきたら、時代錯誤な格好をした鬼(みたいな人間)もとい獅子目言彦に玄関先で捕まった。さてはこいつ、待機していたなッ!?
「ふむ、土産はPS3か、新しい」
だから帰ってきたくなかったんだッ!私は思わず叫びたくなった。
ひょいと首根っこを掴まれ、ついでに持っていたビニール袋を覗き込まれる。これは幻実くんと錯悟くんと三人で遊ぶつもりで買ってきたから、何としてでも壊されるわけにはいかない。
ぼっちの影武者していた頃のが断然平和だったよ、全く!しかも微妙に新しくないからなッ!今新しいのはVitaだ。
「おい!誰か!誰でもいいから私を助けろ!言彦から、命を呈して助けろ!」
そのまま歩き出した言彦の手に握られたまま、私は声を張り上げた。今すぐ新作で遊びたいから、こいつの暇潰しに構っている暇はないんだ。
二人が帰ってくる前に何としてでも数少ないテレビのどれかに繋いで、設定とか終わらせておきたい。そんな私の耳に、ムカつく声が届いた。
「えー、無理ですよー」
「傀儡きさま死にさらせ!そんなべったべたの貼り付け笑顔とかいらないからな!そもそもきさまになんか聞いてないッ!」
頑張れとでも言いたげにひらひらと手を振る傀儡に殺意を覚えた。やっぱりあいつは殺しておくべきだと。