…SEED&ボカロ…小説

□一緒にいる時間
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「えへへ…」

アスランのオーブ軍の制服がハンガーにかかっている…それを見て、僕は思わずにやけてしまう。

「…なんだ…キラ…。ニヤニヤして」

「うわっ!アスラン!」

僕しか部屋にいないかと思ってたのでベッドから急に姿を現したアスランに驚いてしまった。

アスランは僕が見ていた方向に視線を移す。

「…?俺の軍服を見てたのか?」

「うん」

「…なんでコレ見て笑ったんだよ…」

アスランは不思議そうに視線を僕に向けた。

「いや…アスランもこの軍服着てるんだよなぁってさ」

「……確かに…勝手にザフトに戻って…大切な者すら守れなくて…周りをかき乱し、結局この場所に戻って来て…。今更…俺がこの軍服を身にまとうだなんて…お笑いだよな」

アスランは苦笑いをしながら自分の軍服を見る…。

何で…?どうして…そんな事…言うの…?

「…違う…」

「キラ?」

「僕はただ…君と同じ軍服を着れている事が嬉しかったから、笑ったんだよ?」

「?!」

「そりゃ…君は……僕に何にも相談しないで…ザフトに行っちゃったし…いろいろあったよ…」

「………」

アスランは視線を床に落として僕の話しを聞いている…。

「でも…また一緒に戦える。その事が僕に勇気をくれる…だから嬉しいの。だから、これ見て笑ったの」

「………」

「君の行いを笑った訳じゃない。僕だって、今更になってやっと本格的に行動し始めたんだ。君の事笑える立場じゃないんだよ」

「キラ…」

アスランは…大きく目を見開いて僕を見る。綺麗な翡翠の目…君の目の光が昔から…僕を動かしてくれる。

「…ランは…?」

「え…?」

「アスランは…僕と一緒で嬉しくないの?」

「へぇ??!!」

突然の質問にアスランは頬を赤くした。

「い…いや…俺は…別に…」

「嬉しくないの?」

「いや…そういう訳では…」

全く…。昔からアスランて自分の気持ちをいう時、ハッキリしないんだよな…。

「嬉しくないんだ…」

「うっ…違っ…」

「だって、嬉しくないから言わないんでしょ?」

「違うって!」

…そこまで言わないとなると…不安になる。僕は静かにアスランのいるベッドに腰掛けた。

「……僕…だけ?」

「……………」

「嬉しいと思ってるのは僕だけ?」

僕がそういうと…いきなり背中に暖かさを感じた。アスランが後ろから僕を抱き締めてくれたのだ。
「…違うって…言ってるだろ…」

「…アスラン…」

「俺だって…キラとなら…無理だとしか思えない戦いも…光が見えるよ。また一緒に…いられて嬉しいさ…」

アスランはゆっくり、優しく話していた。背中に感じる温もりに僕はホッとする。

「有り難う…アスラン。その言葉が…聞きたかったんだ…」

「…今だけだからな…。こんな事…言うのは…」

「あははっ!ごめんね!無理矢理言わせちゃったね!」

君は優しいから…本当に優しいから…本当は戦争なんて…軍服なんて…君には不似合いだ。

だから……1秒でも早くこんな悲劇を終わらせなきゃ。それが僕の願い…。

「キラ…」

「なに?」

「その…今のは…嘘じゃないからな。無理矢理心にも無いことを言った訳じゃないからな」

「あははは!わかってるよ!君と何年の付き合いだと思ってんのさ!」

「……!」

僕はベッドから立ち上がりアスランを見る。アスランは照れくさそうに微笑んでいた。

「じゃ、そろそろ僕、整備の手伝いに行かないと…」

「あぁ。俺も後で行くよ」

「本当?僕アスランに見て欲しいものがあるんだ!後で見てくれる?」

「わかった」

アスランは立ち上がってオーブの軍服を手に取り、袖に腕を通す。

その姿を少し見てから、僕は襟元を指で直し、部屋を後にした。








END
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