ミモザの咲く頃に

□第9章 正式な申し込み
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会場の歓声にかき消されそうになりながら、聞こえてくるアスランとカガリの声。
《・・・カガリ・・・!》
《アスラン、嬉しい!》

「あ、もう止めてあげて。」
キラの声を聞いて、音声係はスイッチを切った。

キラはすごい速さでキーボードをたたき、映像の制御を停止させる。
「ふたりとも、感極まって何を言い出すかわからないから。」

ラクスがクスクス笑った。
「名残惜しいですが、帰りましょうかキラ。」

キラが残念そうに頷く。
「そうだね。会場に声を流したのがバレたら、アスランがパトリックおじさんみたいに怒り出しちゃうから。」

ラクスは思案顔。
「まぁ、それはちょっと見物ですね。」

キラはイスから立ち上がってキサカの方を向く。
「僕達ちょっと無茶しちゃったけど、大丈夫そうですか?」

キサカはうなづいた。
「結果オーライだ。長老方の顔つきからすると、何とかいけそうな気がする。俺も最善を尽くそう。」

「お願いします。いつもカガリの事見守ってくれて、ありがとうございます。」
キラはキサカに一礼する。

通信班ブースは和やかな雰囲気。

だが本部ブースで起こった騒ぎで、空気が一転した。
本部ブースのカガリがマスコミに囲まれ始めている。

「まずいっ!」
キサカが厳しい顔つきで本部ブースへ走った。

コックピット内に居るアスランは会場の不穏な空気に気付かない。
カガリが聞いてくれていると思って、甘い雰囲気で話し続けた。
〈ずっと君を守りたい・・・〉

〈今守れアスラン!!〉
カガリに向けて話していたつもりだったのに、アスランに返ってきたのは太い男の声。
〈・・・キサカさんですか?〉

インカムで通信を聞いていたキサカが割って入ってきたのだ。
〈そうだ!マスコミがカガリを囲む前に、ここから連れ出せ!〉

アスランはコックピットのモニターにカガリを映し出す。
既に大勢のマスコミが彼女の周りに集まり始めていた。

(なんでこんな大勢にばれたんだ!?)
アスランは自分が公開告白した事に気付いていない。

このままではカガリが危険だ。
〈わ、わかりました!でも、どうやって?〉

カガリに群がる質の悪いマスコミを、手近な所からキサカが殴り倒す。
〈モビルスーツで逃げろ!官邸前に着陸許可を取っておく!〉

あわててアスランはジャスティスを演習場の入り口の所につける。

マスコミを抑えようと、カガリのSP達も揉みくちゃになった。
カガリはなんとかマスコミを振り切り、走ってジャスティスの元へ急ぐ。

マスコミはさらにカガリを追いかけようとした。

「代表をお守りしろー!」
キサカの声にオーブ軍が奮起する。
軍の人間が総出でマスコミとぶつかった。
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