ミモザの咲く頃に

□第8章 ガンダムファイト
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グフの二太刀目を受け止めたジャスティスのサーベルが、グフのビームソード上を滑る用に移動し、グフのメインカメラに向けて一直線の軌道を描いた。

「ぐっ!」
メインカメラを潰されては負けてしまう。
イザークはソードで攻撃を受け流しつつ後ろへ跳んだ。

《おおっとここでジャスティスの反撃!》
《空中戦仕様のグフは後ろへの移動が遅いぞ!》

ジャスティスが一歩前へ踏み込み間合いを詰めた。
二本のビームサーベルを連結させているので、ジャスティスの方がリーチが長い。

「はぁぁっ!」
連結されたビームサーベルが長刀のように、グフを右、左と両サイドから打つ。

息もつかせぬ連続攻撃。
雨あられの様にジャスティスの長刀がグフを連打しながらおしていく。

兵士達から感嘆の声が上がった。
キラとキサカも身を乗り出して見入る。

グフは盾でサーベルの連打を受け止めつつ、後ろにさがっていく。
演習場の端にグフを追い詰めた時、アスランはビームサーベルを分岐。
「たぁっ!!」
二本のサーベルにして渾身の力で振り下ろした。

衝撃でグフの盾が飛ばされる。

盾は回転しながら通信班の近くに落下し、地面に刺さった。
ぞっとする通信班の面々。

「痴話ゲンカで死人を出す気っ!?」
キラが小さく悪態をついた。

「もらった!」
勝利を予感したジャスティスが再びサーベルを振り下ろす。

だが、それに対しニヤッと笑ったイザーク。
グフの腕の中に格納されているスレイヤーウイップを出す。

「しまっ・・・!」
アスランが目を見開いた時には、サーベルにグフの鞭が絡み付いていた。

「食らえっ!!」
グフの電撃が鞭伝いにジャスティスを襲う。

〈うぁぁっ!!〉
苦しそうなアスランのうめき声がインカムから聴こえる。
《アスラァン!!》
カガリは驚き、感情をこめて名前を叫んでしまった。
会場にカガリの声が響き渡る。

司会係はアスハ代表の方を見る。
(・・・准将を、名前で呼んだ?)

模擬戦を見ていた若いオーブ軍人から小さく物議が起こった。
「御二人は大戦の時からのご友人らしいけど・・・」

古参の軍人達は数年前、ボディガード時代のザラ准将とアスハ代表に噂があった事を思い出す。

考え顔のキラが、ラクスにだけ聴こえる小さな声で言った。
「・・・名前叫んじゃったね。」

ラクスは会場の様子を観察している。
「・・・でも結果、カガリさんの方に、運が向いてきている気がします。」

ザワつくギャラリー達の表情に、嫌悪の表情は無い。
(カガリさんとアスランの事を知っても、それに苦言する人は少ないのではないでしょうか?)

「キサカさん。」
ラクスはキサカのほうに寄って小さな声で話す。
「カガリさんとアスラン、ふたりがお付き合いするのに最大の障害となるのは、氏族の方々ですわね?」

キサカは考え顔。
「えぇ。私も時間をかけて根回しはしているのですが・・・今日特別席に座っている氏族のじーさん達が一番の難物です。」

「ふたりが公然の仲になるために、必要なのは何でしょう?」
「いえ、もう実は、氏族たちを押し切れる所まできてるんです。アスランが准将に昇格した事で条件は揃いました。なのにカガリもアスランも動こうしない。」

ラクスは微笑む。
「ご老体方を、押し切ってもよろしいですか?」

キサカはラクスが何をしようとしているのか読めず、眉をひそめた。

「風はカガリさん達に吹いてきています。」
ラクスは真っ直ぐに氏族たちを見る。
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