ふたりの碧い想い
□第1章 紫色の謀り
1ページ/3ページ
その日のアスハ邸の朝食は静かだった。
アスランとカガリは一緒にテーブルについていたが、一言も話さない。
マーナは何かあったのだろうかと心配になる。
昨日、二人は仲睦まじく夜の散歩に出掛けたのに、帰ってきてからは様子がおかしかった。
家を出る時間になっても無言のまま。
二人が代表の送迎車の後部座席に座った後も空気は重く、カガリは沈黙に耐えかねていた。
アスランが口を開く。
「今日、」
カガリはビクリと肩を揺らす。
それを見たアスランは目を合わせずに、カガリの手に自分の手を重ねた。
「予算関係の会議が、入ってたな。」
アスランの手の温もりで、カガリは少し心が和らぐ。
「いつもの長ーくなる、あの会議だ。」
アスランが少し笑った。
「うん、あの会議は長い。会議場の外で立ってる警護はみんなあくびをかみ殺してる。」
カガリは指と指を絡めてきた。
「アレックスもか?」
アスランはカガリの方を見る。
「あぁ、オレもだ。」
カガリは少し微笑んだ。
「一日がかりの会議だ。少しぐらいなら抜けても大丈夫だぞ?」
チラリとアスランを見たが、視線を足元に戻してしまう。
「カガリ。」
視線を合わせようとしないカガリに、アスランは少し詰め寄った。
「いつでもいい、昨日の話を聞かせて欲しい。」
「・・・うん。」
カガリは頷いたが、アスランを見てはくれない。