それからのふたり

□第7章 カルネヴァーレ
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ヴェネチアのカルネヴァーレ用衣装店から、アスランがうつむき加減で出てきた。
(・・・絶対あいつら、オレで遊んでる・・・)

黒いマントをひるがえし、白と茶色の羽飾りが付いた大きな黒い帽子をかぶっている。
白地に薄茶のツタ模様の入った目元を隠す仮面には、ポイントで金色があしらわれ、緋色の天然石が付いていた。
白いシルクのブラウスは大きなひだの付いた襟元。
ウエストに巻かれたザフトレッドのビロードの帯は胸元の控えめな同色のリボンと対を成している。

(キラとラクスのせいだ。こんな服を選ぶなんて・・・)
救いは、街中がみんな似たような格好をしている事だ。

ヴェネチア・カルネヴァーレ。
世界的に有名なカーニバルのひとつで、街中の人間が中世の貴族や道化師の仮装をする。
土地の人間も観光客も入り乱れての特異な祭りだ。

オペラ座の怪人の様な男の中身が、オーブの軍人だとは誰にもわからないだろう。
アスランは約束のレストランへと急いだ。
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