ふたりの夏やすみ

□第10章 夏はキミのもの
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おもちゃショーから一週間がたった。いまだに騒ぎは報道されない。ネットの書き込みもほとんど無くなった。

キラは家に帰った。
相変わらず部屋に閉じこもっているアスランも、キラとハロがいなくなって少し退屈を感じ始める。

『ハロを調べるために図書館で借りたロボット工学の本、そろそろ返しに行かなくちゃ。』

返却日を思い出して、本を手に取ったアスランは、ぱらぱらとページをめくった。

『ハロを分解するの、面白かったな。』

そのまま本を読み始める。

僕、電子工作が好きみたいだ。


玄関のドアが開く音がした。またキラが、遊ぼうって誘いに来たのかな。

アスランの部屋にノックの音が響く。
「アスラン?」

会いたかった人の声がする。

アスランは本を取り落とし、走って扉を開ける。

母、レノア・ザラが微笑んで立っていた。

「母上、どうして!?」

視線をあわせる様にひざをついてから、レノアは驚いて立ち尽くしている息子を抱きしめた。
「驚かせてごめんなさい。あなたが部屋に閉じこもっているって聞いて、心配で来てしまったの。」

母の背中に遠慮がちに腕をまわして、アスランはしがみついた。
母上のいいにおいがする。
「お仕事は?」

「お休みを貰ったわ・・・一日だけだから、とんぼ返りになってしまうけれど。」

母上に心配をかけてしまった。
「ごめんなさい・・・」

「謝るのはお母さんの方よ。あなたにさみしい思いをさせてしまって・・・ゆっくりお話したいわ、アスラン。まずはお風呂に入ってらっしゃい。その間に、お母さん夕食を作っておくから。全部あなたの好物にしましょう?」

アスランの額にキスを落として、レノアは笑った。

アスランも嬉しさが顔から溢れ出した様に笑って、急いでお風呂に入ることにする。
「すぐにお風呂に入ってきます、僕も母上とたくさん話したい!」

飛ぶようにお風呂場へ走っていくアスランを見たお手伝いさんは、レノアに言った。
「奥様、ご一緒に入られてはいかがですか?その方がたくさんアスラン様とお話できますし。料理の下ごしらえは私がやっておきますから。」

レノアは少し考えてから答えた。
「そうね、久しぶりに。」
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