ふたりの夏やすみ
□第5章 決戦前夜
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夕方、キラとアスランはやっと部屋から出てきた。
お手伝いさんは安堵して夕食にする。
「夕食できていますけれど、何かリクエストがあれば追加でお作りしますよ?」
キラが嬉しそうに言う。
「ボク、オムライスがいい!」
「かしこまりました!アスラン様は?」
アスランは戸惑っていた。
お手伝いさんはいつも、栄養バランスの良い薄味のものを作ってくれる。
オムライスなんてお願いしてもいいのかな?
アスランは遠慮がちに頼んだ。
「それじゃ、僕もオムライス、お願いします。」
「はいっ、かしこまりました!」
なんだかアスランは、お手伝いさんが嬉しそうに見えた。
一仕事終えたふたりは、にぎやかに夕食を食べる。
ふざけたキラが、アスランのオムライスにケチャップで落書きをした。
おかえしにアスランも落書きしようとしたが、キラはケチャップ容器を死守しようとする。
ケチャップ争奪戦の結果、ふたりの顔や腕に、ケチャップがついてしまった。
くすくす笑いながらお手伝いさんが言う。
「食事の後にお風呂に入ってくださいね?」
ふたりで脱衣所に入ると、キラはズボンを片足だけ脱いで、思いっきり足を蹴り上げた。脱いだズボンが天井にヒットする。
「やったぁ!」
「キラ、いつもそんな事してるの?」
「アスランもやろうよ!」
「それ、なにか意味があるの?」
「楽しいよ。」
アスランは少し考えてからキラのまねをして準備する。
キラと一緒に足を蹴り上げた。
天井に、アスランのズボンとキラの靴下がヒットした。
ふたりは大笑いして、上着も下着も全部天井にぶつけてからお風呂に入った。
湯船でも散々遊んだ後、頭を洗う。
「アスラン、頭洗うのうまいね?」
「ははっ、キラ、耳に泡が入ってる。」
バカにされた気がしたキラは、仕返しにアスランの髪を泡で変な形にして遊んでいたが、ふと自分達は急いだ方が良い事を思い出した。カナリアが通信してくるかもしれない。
あわてて、高いところに固定したシャワーでふたり同時に泡を流す。
キラは普段一人でお風呂に入っていたが、仕上げに流すのはお母さんにやってもらっていたので、自分でうまく流せない。
アスランは上手に流している。
「アスランはお風呂、一人で入ってるの?」
「うん、もう7歳だから。キラは?」
「うん、ボクも。ひとりで入ってる。」
一応ね。