ふたりの夏やすみ
□第2章 アスランと電子工作
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夕方は雨になる。空が曇ってきた。
物置部屋で見つけた古いハロに、キラは話しかける。
「いいよ。ボクたち、もう友達だ。」
ハロはくるくる回った。
「ウレシイ。ワタシ ハナシアイテ ガ ホシカッタ ノ。」
その時、雷が鳴る。
キラとアスランはハロを連れて、急いで家に戻った。
雨が降る前に帰ってきたのは良かったが、二人は物置部屋を散らかしたことを忘れていた。これではキラのお母さんに怒られる。
アスランはハロに話しかけた。
「ちょっと、待ってろ。」
ハロを優しく床において、物置部屋へ向かう。
急いで荷物を二人で片付ける。
「あーっ!!」
キラが叫んだ。
「どうしたのキラ?」
アスランが見ると、キラは綺麗な花瓶を持って焦っている。
「花瓶にヒビが入っちゃってる!」
「うわぁ・・・ふたりで謝ろう。」
キラは花瓶を元の場所に戻した。
「大丈夫、この花瓶、あんまり使わないんだ。元通りの場所にしまっておけば、分かんないよ。」
キラは手際よく物置を片付けて、証拠を隠滅していく。
「・・・ばれると思うよ?ハロが物置から出してあったら、どうやって箱の中のハロを見つけたか、説明しなくちゃいけないだろ。それとも、ハロもしまっちゃうのか?」
アスランはハロを気に入り始めていた。しまいたくない。
ハッとして、キラは振り返りアスランを見る。
「アスラン、ハロを預かってくれない?今すぐ持って返って。母さんが帰ってくる前に!」
「えぇっ!?」
何だか悪巧みの片棒を担がされるみたいで、アスランは嫌だった。
「はやくはやく!ボク、後でアスランの家に行くから!」
キラはアスランにハロを渡して、玄関から放り出すように押し出す。
キラは手をひらひら振って、バタンと扉を閉めた。
しぶしぶアスランはハロと自分の家に戻る。