約束が終わるとき

□第10章 広がる世界
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あれから数日が過ぎた。
ユウナの件で4人はしばらく動かないことで意見が一致している。
奨学生データの抜き取りはまだ実行されていない。

だが、もう心配ないのかもしれない。
ラクスがカガリと一緒にいるだけで、ユウナは近寄ってこなくなったからだ。
バルトフェルドが睨みを利かせているので距離を置いているようだ。


休み時間、ラクスは2組の教室の入り口で人を探していた。
探し人を見つけて彼女が笑顔になる。
「キラ?今少しお時間よろしいですか?」

キラは自分で自分を指差し、ラクスを見る。
ラクスがひとつ、うなずいた。

彼女がパンフレットをキラに見せる。
「大学で特別講義があるんです。有名な教授のお話が聞けますわ。学園の関係者は自由に参加できるのです。ご一緒にいかがですか?」

さっきと同じ体勢で、自分自身に指をむけたまま、キラは近くの席のアスランを見る。

アスランは『どうぞお気兼ねなく』という感じで、手の平をキラとラクスに向けた。

キラは頬を高潮させて返事をした。
「うん。僕でよければ行くよ」

ラクスはニッコリ微笑んでパンフレットをキラに渡す。
「では今週の土曜日、ご自宅までお迎えにあがります」
彼女は上機嫌で教室から出て行った。

キラはぼうっとラクスを見送っている。

「ま、がんばれよ」
読んでいる本に目を落したままアスランは言った。

キラはアスランの方を向いて、遠慮がちに聞いてみる。
「これって、デートなのかな」

アスランは少し目を細めた。
「オマエの気の持ちようだな」

キラは幸せそうにパンフレットを抱きしめる。
「そうかぁ、デートなんだぁ・・・」
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