約束が終わるとき

□第9章 大スクープ
1ページ/3ページ

いつもより早い時間のせいか、校舎の窓から差し込む陽の光がまぶしい。
校舎内を走るアスランは、2段とばしで階段を上がっていった。

その表情は普段の大人びた彼とは異なり楽しそう。
年相応の笑みがこぼれおちる。

3階のところで同じクラスのディアッカを追い抜いた。

「あれっ早いなアスラン・・・ひょっとして朝帰り?」
わざと大きな声で話しかけるディアッカの声が階段に響く。

「ばか。妙なこと口走るなディアッカ」

ディアッカはにやりとした。
昨日アスランの携帯端末から電話がきて、ディアッカの家に泊まった事にしてくれと頼まれたのだ。
中等部から付き合いのあるアスランの願いを、ディアッカはひとつ返事で了承した。
昨夜アスランが誰といたのか、ディアッカはものすごく気になっている。

そこへカガリが追いついてきた。
「まてよっ!アスラン」

アスランはしまったという顔をして、ディアッカを置き去りにして再び走り出す。

校舎内を遠慮のないスピードで走り抜ける元気な女の子を、ディアッカは目を丸くして見おくった。
「うそだろ・・・アスハちゃんかよ。クラインとぜんぜんタイプ違うじゃん」

「ディアッカ、朝帰りって何?」
突然話しかけられディアッカが後ろを向くと、同じクラスのキラが階段を上がってくるところだった。
キラも走ってきたのか、少し息があがっている。

「昨日アスランにアリバイ工作を頼まれたんだ。あいつ、昨日何処にいたんだろ」

キラの表情が硬くなる。
「そう・・・アスランは昨日家に帰っていないんだね」

怒っているようにも見えるキラが、ディアッカに目もくれず階段をかけ上がっていった。

ディアッカは階段の踊り場に一人残される。
「なんだよ、キラまで血相変えて。ひょっとして修羅場かぁ?」



アスランが2組の教室に入ると、他に生徒は誰も居らず一番乗り。

「つかまえた!」
いきなり背中に衝撃をうけてアスランが振り向くと、息をはずませるカガリが制服にしがみついている。

やれやれとアスランが口を開こうとしたとき、教室の入り口に立つキラが見えた。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ