約束が終わるとき

□第1章 ふたりの契約
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風薫る季節、会員制ホテルの庭園でパーティが催されていた。
二つの大きな会社が業務提携を発表するということで、関係者やその家族、報道関係者も多く集まっている。

鋭い目つきの男と柔和な微笑みを浮かべる男が大勢のマスコミに囲まれて、固く握手をした。
「業務提携おめでとうございますザラCEO!」
「クライン様、こちらにも笑顔をお願いします」

まばゆいフラッシュに囲まれた父親達を、少し離れたところからふたりの子供が見つめている。
藍色の髪の賢そうな男の子と、桃色の髪のかわいい女の子だ。

男の子の母親が子供たちに優しくたずねる。
「お父様達しばらくかかりそうね。退屈でしょう、あなたたち何か飲む?」

だがちょうどその時、母親も記者から声をかけられた。
彼女も微笑を浮かべてインタビューに答え始める。

男の子は遠慮がちに女の子へ話しかけた。
「大人たちは忙しいみたいですね。僕が飲み物を取ってきます」

自分のために颯爽と飲み物をとりに行ってくれた男の子を、女の子は頼もしく感じた。

男の子はすぐに戻るつもりだったが、飲み物のカウンターで知り合いにつかまってしまう。

女の子がひとりで待っていると、背の高い少年がなれなれしく話しかけてきた。
「ラクス・クラインさんですね?本日はおめでとうございます。僕は君のお父様の取引先の・・・」
少年が長々と自慢を交えた自己紹介を始める。

ラクスが少し困った顔で少年の話を聞いていると、突然ピンクの小型ロボットが少年に飛びかかった。
『ハロハロ、ナイストゥーミューチュ!』

背の高い少年は驚いて後ずさりする。
「うわっ、なんだこいつ!?」

続いて白、オレンジのハロも加わった。
3体のロボットが少年の周りをぴょんぴょん飛びまわる。
頭やおしりをハロに小突かれて、少年は少しずつラクスから離されていった。
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