プロポーズを君に

□第10章 レポート
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5月18日、誕生日当日、オーブの貴賓来客用ゲストルーム。

アスランは自分の上着を脱いで、カガリの肩にかける。
「からかわれたって・・・どうしてそう思った?」

カガリはアスランの上着をきゅっと両手で引っ張り、身体を隠した。
「バースデーカードにさ、プレゼントの感想をアスランに聞いてみろって書いてあったんだ」

「な・・・」
アスランは思う、それはカガリだけでなく自分もからかわれているのでは・・・?
「誰だ?そんなこと書くのは」

「フラガ大佐。あとバルトフェルドのおっさん」
「フラガ大佐が?失礼じゃないか、仮にも上司へのプレゼントなのに」

カガリは可笑しくなってきた。
「レポートにして感想を提出するように、アスランに伝えておけってさ」

「レポートって・・・俺も一応ムウさんの上司なのに」
軽くみられている・・・キサカさんの言うとおり、准将らしくビシッとするべきかもしれない。

カガリは思う、そういえば贈り物の中にアスランからのものはなかった。
「アスランは?お前もこのイタズラに一枚かんでいるのか?」

心外とばかりにアスランの声は大きくなる。
「ちがう!オレはちゃんと・・・!」

カガリは期待した瞳で、アスランを見つめた。
「ちゃんと、なに?」

アスランは少し背筋をのばす。
カガリにかけた自分の上着のポケットから、ベルベットで覆われた細長いケースを取り出した。
「受け取りに行くのがギリギリになって包装してないんだ。すまない」

ケースの中から取り出したのは、ハウメアの守り石。
カガリが16歳の時にアスランに贈った物と似ているが、飾り紐の代わりに金鎖が使われていた。

「俺がアスハ家の祠から採ってきた石を加工して作ってもらった」

カガリの白く細い首元に金鎖がまわされ、アスランの長い指が留め金を止める。
ハウメアの守り石を贈る彼はどこか緊張しているように見えた。

(もしかしてアスラン、氏族の古いならわしを知っている?)

カガリはドキドキしてくる。
ひょっとしてアスランはプロポーズしようとしているのではないだろうか?
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