プロポーズを君に
□第7章 キラ・ヤマト
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5月15日、悲劇の3日前、プラント。
キラはパソコンの前に座り、プリントアウトされた一枚のリストを眺める。
その表情はとても楽しそうだ。
部屋の扉が開く。
本日の執務を終えたラクスが、キラのもとへやってきた。
ラクスの仕事が終わるまでそばにいるか、起きて待っているのがキラの日課。
イタズラ顔でキラが紙を覗き込んでいるのを見て、ラクスも微笑む。
「楽しそうですね、キラ」
ヒョイと紙きれの向こうからキラが顔を出す。
「お疲れ様ラクス。カガリへのプレゼントが面白い事になっているよ」
「皆さん、何を贈ったか教えてくださったのですか?」
「ううん。アスランが気にしてるからさ、僕が皆に聞いたんだ」
ラクスはキラのそばに立つ。
「それで?皆さん、どんな贈り物を?」
キラはラクスにプレゼントリストを見せた。
ラクスの頬に、ぱぁっ華が咲くように赤みが差す。
「本当に皆さん、こんなプレゼントを贈るつもりなんですか?」
キラは愉快そうに椅子をくるっと回した。
「僕も驚いたよ。なんかみんな、あちこちで連絡取り合ったみたいでさ。悪ふざけがエスカレートしたんじゃないかな」
リストに目をやりながら、ラクスが眉をひそめる。
「確かに・・・申し合わせないと、ここまで揃いはしないでしょうけれど」
ディアッカがルナマリアに依頼中の品物をはじめとして、ふつう誕生日プレゼントにはしないものがズラリとリストに並ぶ。
キラがもう一度くるっと椅子を回した。
「でさ、ここからが問題」
ラクスは小首を傾げ、不思議そうにキラを見つめた。
「カガリがこのプレゼントを使うと思う?」
ラクスは頬を赤らめたまま小さく首を振った。
「これをカガリさんが身に着けるとは思えません!」
思案顔のキラがつぶやく。
「そうだよね・・・でもせっかくの贈り物なんだから一度くらい・・・」
ラクスはキラに詰め寄った。
「キラは、実のお姉さんにこんなモノを着てほしいと思うのですか?」
責めたてられてちょっと面食らったキラが、ラクスを間近に見つめながら答える。
「そうじゃないけどさ・・・アスランが見たいんじゃないかと思って」
ラクスの大きな瞳が瞬きした。
「アスランが?」