プロポーズを君に
□第1章 陽のあたる場所
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5月18日、オーブ、貴賓来客用ゲストルーム前。
男は緊張した様子で部屋の前に立つ。
のどをゴクリと鳴らし、扉に手を掛けた。
ドアの開く音が聞こえて、部屋の中にいた人物は戦慄する。
人が来るはずはない・・・鍵も掛けてあったはず。
予定外の事態に頭が真っ白になる。
男は戸口を進み、部屋の中に一歩踏み入れた。
鏡の前に立ち尽くしていた女がはじかれた様に振り向く。
その女の手には短銃が握られていた。
銃口を向けられた男は、信じられない光景に息を呑む。
頭に血が上った男は冷静さを失った。
それは一瞬の出来事。
空を切り裂くような悲鳴。
男の上着を染めていく赤い鮮血。
何がどうしてこうなったのか。
部屋の中の人間たちは事態を飲み込めない。
涙目の女性があわてて男に駆け寄る。
「アスラン、どうしてっ!?」
カガリの姿をうつしこむ、ゆらめく翡翠は静かに瞳を閉じた。