ミモザの咲く頃に
□第7章 合同軍事演習
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模擬戦開始時刻。
ただっ広い軍事演習場の真ん中に、距離を置いて二機のモビルスーツが立つ。
安全を考慮して、演習場から相当な距離をとって遠巻きに軍人達が見守る。
それをさらに囲むように、軍用敷地の金網越しに一般客が観戦していた。
見えにくい位置にいるギャラリー向けに、本部ブースの大型モニターと連動して、会場のあちこちにも大型モニターが設置されている。
〈数千人、来てるんじゃないか?〉
アスランがジャスティスのコックピット通信で話す。
〈怖気づいたか、アスラン。〉
イザークが挑発めいた声で返した。
その時、両方のコックピットに通信班から連絡が入る。
〈要人が到着されました。試合開始は今しばらくお待ちください。〉
〈要人?〉
アスランがジャスティスのカメラ映像をモニターで確認する。
イザークも確認した。
〈来たか、カガリ・ユラ・アスハ。〉
〈それに、あれは・・・〉
アスランは映像を拡大する。
(氏家のご老体たち?)
本部ブースにいたキサカは、氏家の要人を特別席に案内する。
演習場を直接肉眼で確認でき、本部ブースの大型モニターも同時に見られる席だ。
カガリがキサカの肩をたたく。
「キサカ、モビルスーツの通信は何処にいけば聞ける?」
「俺のいる本部ブースか、通信班のブースで拾えると思うが。一緒に来るか?」
キサカがニヤリとした。
(司会係に頼まれていた模擬戦の解説をカガリにやらせて、俺はキラの所へ行こう。いきなりジャスティスの使用許可を求めてくるなんて、何かある。)
カガリは何も知らずにキサカについていった。
本部ブースに着くと、司会係がマイクを持って嬉しそうに立ち上がる。
会場に司会係の声が響き渡った。
《ここで本部ブースにスペシャルゲスト!アスハ代表が来て下さいました!》
驚いた顔のカガリに解説を押し付けて、キサカは通信ブースにいるキラの元へ走った。
(つづく)