ミモザの咲く頃に
□第7章 合同軍事演習
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晴れ上がった空。
今日はオーブとプラントの合同軍事演習。
一般公開されているモビルスーツに子供達の歓声が上がっていた。
磨き上げられたモビルスーツが重厚に立ち並ぶ。
プラントから展示用に持ち込まれたインフィニットジャスティスが、陽を浴びて光っていた。
午前の全体演習はプラント側の勝利で終了している。
今は昼の休憩時間。
午後からはエキシビジョンマッチが予定されている。
ザラ准将とジュール隊長のモビルスーツによる模擬戦だ。
だが昼を過ぎた頃から、いつもの演習風景とは様子が違ってきていた。
普段、演習には来ない上官や文官たちが、現場に足を運んでいるのが見える。
しかも敷地境界の金網の外に一般人のギャラリーが集まり始め、さらに増え続けていた。
まるでお祭り騒ぎのようで、よく見れば屋台まで出ている。
許可を得て軍敷地内に入っているマスコミの数も、普段よりグッと多かった。
軍の訓練用敷地の片隅に、男がふたり。
どんどん人が集まってくる様子を、呆気にとられて見ていた。
呆然とするアスラン。
「なんでこんな事になってるんだ・・・」
渋い顔でイライラするイザーク。
「オーブの奴らはお祭り騒ぎが好きなのか?」
「そんな訳ないだろう。普段の公開演習は、軍人の家族やマニアぐらいしか来ない。でも今日は明らかに一般人が大勢来ている。」
「・・・それは妙だな。なぜ今日に限って、ギャラリーが多い。」
見合いは見合い、勝負は勝負。
イザークは最初から全力でやるつもりでいたが、この観客の多さは想定外だった。
その時、ふたりの後ろから声がした。
「ザラ准将とジュール隊長、ふたりの伝説が戦うなんてみんな見逃せないよね?」
聞きなれた男の声にイザークとアスランが振り向く。
「「キラ!!」」
ニコニコして、キラとラクスが立っていた。
「どうしてオーブに・・・」
アスランの言葉をさえぎってイザークが前に出る。
「キラ!貴様とラクス様がここにいたら、執務は誰が仕切っているんだ!!」
さらっとキラが言い放つ。
「ディアッカにお願いしてきたよ。」
イザークが食ってかかった。
「ディアッカは俺の代理で手一杯のはずだ!」
ラクスの澄んだ声が場をなだめる。
「ディアッカが全力でお仕事をしてくれれば、議長代理でもやれますわ。」
「僕達、ふたりの模擬戦がどうしても観たくって。終わったらすぐにプラントへ帰るからさ。安心して。」
キラとラクスがふわっと笑った。