ミモザの咲く頃に

□第5章 見合い当日
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カガリの見合い当日。
アスハ邸は準備に追われていた。

「何の冗談だこれは!」
見合い写真を手に、叫ぶカガリ。

「イザーク・ジュール!?」
見合い当日の朝になってやっと、相手の写真を確認するという関心の無さである。

「ですから、ちゃんとお写真を見てくださいと再三申し上げましたのに。」
マーナはあきれながら、カガリの髪を整える。

アスランとのケンカが原因で、天邪鬼が発動中のカガリ。
彼女が許容できる範囲で、見合いの為に盛大に着飾っている最中だった。

「騒いでももう、どうしようもありませんよ。出発のお時間です。」

マーナに押し込まれるように車にのせられ、カガリは見合いの場所へと移動させられる。





見合いはアスハ家所有のサロンで行われる事になっていた。
カガリの車が着くと、サロンに従事する者達が多数出迎える。

イザークはすでに到着していて、カガリを待っていた。

「お久しぶりです。」
銀髪をなびかせて優雅に立ち上がる彼。
ジッとカガリを見る。
(馬子にも衣装とはまさにこの事だな。)

「遠いところオーブまで足をお運びいただき感謝します。」
短時間しか持たない麗しい微笑をうかべたカガリが手を差し伸べる。
(軍服じゃないコイツははじめて見たかも。)

「いえ。こちらこそ見合いを受けていただけるとは光栄です。」
イザークはカガリの手をとり、席へと誘う。
(絶対断るだろうと期待していたんだが。)

「・・・ジュール家のお申し出を断るなんて、できるわけがありません。」
給仕が引いてくれた椅子に掛けるカガリ。
(お前が相手だって事、今朝知ったんだけどな。)

給仕が、ふたりにお茶を入れる。
紅茶の良い香りが部屋に広がった。

「お互い知らない仲ではない、付き添いも無しにしたので、気兼ねなく話せますな。」
「えぇ・・・」

ふたり、目が合う。

給仕達が扉を閉めて、部屋から出て行った。

カガリがテーブルにひじをつき、手に顎を乗せ、ポーカーフェイスを解く。
「なぁ、もうやめないか?」

イザークが椅子の背もたれに腕を引っ掛けて、素の表情になる。
「同感だ。」

ふたりとも一気に態度を崩した。
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