ミモザの咲く頃に
□第3章 見合い話
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カガリは頑として扉を開けない。
アスランはエリカに電話で諭される形となった。
エリカの話に、彼の顔から血の気が引いていく。
一通り話した後、電話を切った。
たくさんの情報をエリカから告げられて、困惑するアスラン。
だが今は、一刻も早くカガリを安静にさせるのが先決。
トイレのドアをノックする。
「カガリ、大丈夫か?」
「・・・うるさいっ!」
カガリはアスランの事を怒っていた。
(ふたりの問題に他人を巻き込むなんて・・・!)
未だ解けていないカガリの怒りの声を聞いて、アスランはうなだれる。
「カガリ・・・お願いだ、ここから出てきて寝室で休んでくれ。俺と話したくないというのなら、リビングにいる。絶対に寝室には行かないと約束するから。」
何だか泣きそうなアスランの声。カガリの心が少し痛んだ。
「シモンズ主任が迎えに来てくれる。それまで温かいところで横になってくれ。」
「エリカが・・・マーナじゃなくて?」
「もう夜も遅い。マーナさんは寝てるだろうからシモンズ主任に電話したんだ。」
結果、正解だった。
マーナでは今の状況を正確には把握できなかったかもしれない。
エリカ・シモンズは今回のカガリの症状について、何故かとても詳しかった。
「頼むカガリ、出てきてくれ・・・!俺は顔を合わせないようにするから。」
悲痛なまでの彼の懇願。
カガリは戸惑い始める。アスランはエリカに何を言われたんだろう。
「わかった・・・」
アスランはホッとして、リビングへ移動した。
リビングの扉を閉めて、廊下の音をうかがう。
しばらくしてカガリが寝室へ行く音が聞こえた。
少し安心したアスランは、扉に寄りかかりズルズルとその場に座り込む。
1時間程たってから、エリカが迎えに来た。
エリカに連れられて玄関から出て行く間、カガリはアスランと目も合わせない。
玄関の扉が閉まると、アスランはひどく憔悴して頭を抱え瞳を閉じた。