ふたりの夏やすみ

□第2章 アスランと電子工作
2ページ/5ページ

家に帰ると玄関には鍵がかかっていた。お手伝いさんは夕飯の買い物に出かけたらしい。ロックを解除して家に入り、アスランは自分の部屋に行く。

ハロがアスランに話しかけてきた。
「・・・マダ マツ ノ?オハナシ デキル?」

アスランは驚いて目を丸くする。
「お前ずっと待ってたのか。ごめん、悪かったな。」
アスランはハロの賢さに感心しながら、ベットにハロを置いた。
自分も寝ころがり、ひじをついて話しかける。

「話し相手が欲しいって言ってたな。退屈していたのか?」

「ウン。オウチ ノ ナカ ニ トジコメ ラレテ タイクツ シテイタ ノ。」

「そうか。オレも話し相手がほしかったからちょうどいいや。」
アスランはお手伝いさんと二人で暮らしていた。両親は仕事で忙しい。
そばに住んでいるキラの家族が毎日声をかけてくれるから、あまり寂しさは感じなくてすんでいるのだが。

「オレ?ボク?コトバ ガ バラバラ ネ。」

アスランはハロが何の事を言っているのかを考えた。
『そうか、キラが自分を「ボク」って言って、オレは「オレ」って言うから、混乱しているのかな?』
アスランは笑った。
「じゃぁ、『ボク』に統一するよ。」

ハロはゆらゆら揺れて、耳をパタパタさせる。
「フフッ、ワラッタ ネ!ネェ、ナマエ ハ ナンテ イウ ノ?」

アスランは名乗ろうとしたが、さっきの事を考えた。『ボク』と『オレ』で混乱するくらいだから、話し相手の名前は一つに統一したほうがいいのかな?
「アスラン」にするか?なんだかキラに悪いな。「キラ」にしようか?

「ナマエ ナイ ノ?ナンテ ヨベバ イイ カシラ?」

アスランは、キラが夢中なテレビ番組『銀河戦隊トライエイジ』にハロが出てくるのを思い出した。ハロの持ち主の名前はたしか、ホーク。

「ホークって呼んで。」

「ジャァ、ワタシ ハ カナリア。」

「カナリア、素敵な名前だね。歳はいくつ?」
アスランはだんだんハロを友達のように感じながら話しかけていた。

「8 サイ ヨ。ホーク ハ イクツ?」

「7歳。カナリアの方がお姉さんだね。」
カナリアの話し方で『お姉さん』って言ってしまったけれど、ハロって性別あるのかな?

「ア、イケナイ ミツカル ワ」

「どうしたの、カナリア?」

「アシタ マタ コノ ジカン ニ!」

ハロの動きが停止して、目の光が消えた。

「ハロハロ、ミトメタクナイー!」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ