ふたりの夏やすみ

□第1章 物置のハロ
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程よい温度に調整された気候。空には少し雲が出始めていた。
今日は夕方から雨の予定になっている。

キラは満面の笑みで走りながらアスランに言った。
「オニごっこしよう、アスランがオニっ!ボクとハロで逃げるからね。ハロ、ついておいでっ!」

「ハロハロ、テヤンディ!」
ハロはジャンプして、キラに付いて来る。
「あははっ、ハロはお利口さんだね!」

「ずるいぞキラっ、勝手にオニを決めるな、ジャンケンしてよ!」
アスランは文句を言いつつ、笑顔で追いかける。

キラとハロは逃げていく、なかなか早い。
アスランは不思議に思った。ハロはキラの言うことを理解しているみたいだ。お店に売っているハロはこんなにお利口さんじゃないはず。
「なぁ、キラっ!そのハロ、誰かが利口に改造したのかも!」

その時、不規則な電子音とともに、ハロが何度も激しくジャンプした。
「うわっ、なぁに!」
驚いたキラは走るのをやめる。
アスランも追いついてきて、ハロを目で追った。

ハロは地面に着地し、ゆらゆら揺れて目を点滅させた。目は金色に光っている。
「キライ ヨ!」
ハロが叫んだ。

キラとアスランは目を見合わせた。

「何が、嫌いなんだ?」
アスランはハロに聞いた。

「・・・アナタ ワタシニ ハナシテ イル ノ?」
ハロが言う。なんだか言葉遣いが変わっている。

アスランは怪訝な顔でハロに答えた。
「あぁ、そうだけど・・・。」

ハロは耳をパタパタさせて言う。
「オハナシ デキル ノネ。スゴイワ オトモダチ ニ ナッテ クレル?」

キラはアスランと顔を見合わせて、小首をかしげる。


何気ない日常に、ハロが加わる。
ふたりの夏やすみは、こうして始まった。


第2章へつづく)
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