ふたりの碧い想い

□第3章 氏族の祠
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横の壁がズズズッとアスラン達の方に動き始めた。

「わぁぁぁっ!」
ユウナが情けなく叫ぶ。

アスランは周りをぐるりと見回した。
迫ってくる壁の反対側に、人がギリギリ通れる横穴がある。

「こっちへ!」
アスランはユウナの腕に自分の片腕に引っ掛けて、横穴へ走る。
ユウナを先に横穴に放り込んだ。
壁が迫ってくる。
そのままグズグズしているユウナを、横穴の奥に蹴飛ばして、アスランも中に入った。

アスランが入ると同時に壁が横穴を塞ぐ。
横穴の中は少し広くなっていて、奥へと続いていた。

「い、たた。アレックス、お前今僕を蹴っただろう!」

その言葉を無視して、アスランはユウナの肩を強くつかむ。
「何なんだ此処は!?全部あなたの企みなんですか!」

その剣幕にユウナが少したじろぐ。
「ここは氏族の祠、だと思う。昔一度入った祠に似ているから。本当は上にあった祭壇に仕掛けがあって、入り口が開くはず。・・・でもなんで落とし穴なんかあったんだ?」

アスランは意外な情報に驚いた。
「祠?侵入者よけの細工があったとか・・・」
ここまで言ったとき、アスランは思いつく。
「あなた、私を祠の罠にかけるつもりだったんですか!?」

ユウナは悪びれもせず白状する。
「そんなまどろっこしいことするもんか。洞窟で手下にボコらせて、縛って放置しておけば、君も少しは身の程をわきまえるだろうと思っていたんだ。服を脱がせて観光客のさらし者にするかどうかが悩みどころで・・・」

アスランは目を閉じ、肩をいからせ、耐えていた。

コイツに食ってかかったら迷惑するのはカガリなんだ、と。

アスランが目を開けると、目の前を細長い棒の様な物が、空を切った。

棒が飛んできた方向を見ると、壁に小さな穴が開いている。
この穴から棒が発射されたのか?

アスランは行く先の側壁に次々と小さな穴が空いていくのを見て戦慄した。
「走って!」
アスランはユウナの肩を押す。
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