ふたりの碧い想い
□第2章 西の洞窟
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アスランが考えていると、声をかけられる。
「いよぉ、アレックス。何やってんだ?」
キサカ一佐だ。
「少し調べ物を。キサカさん、予算会議には出なくていいんですか?」
アスランは不思議に思って聞く。
キサカは声を落として言う。
「あんな長い会議、ずっと居たら体が固まる。もっと重要な案件を優先しないとな。」
要領がいい人だとアスランは思い、少し眉を落として微笑んだ。
パソコン画面を見たキサカが不思議そうな顔をした。
「西海岸の洞窟?お前、何を調べているんだ。」
「あ、いえ、ちょっと。」
アスランは言い淀む。
キサカは探るような目でアスランを見る。
「あそこは氏家の中でもセイラン家が中心になって管理している洞窟だ。・・・お前、変なことに巻き込まれていないか?」
最後の方は心配そうな声にも聞こえた。
アスランは迷う。
どうする?話すべきだろうか。
でもできればカガリの耳には入れたくない。
アスランは真っ直ぐにキサカを見る。
「今のところは大丈夫だと思います。」
「・・・そうか。何かあったら早めに言えよ?」
キサカは納得いかない顔でその場を立ち去った。
キサカは思う。
アスランの奴、ユウナにちょっかい出されているんじゃないのか?
とはいえ、セイラン家に文句は言えんしな。
オーブの戦後復興には氏家同士の協力は不可欠だ。
ふぅっとキサカはため息をついた。
カガリはまだ若すぎる。
周りの氏家にソッポを向かれたら、たちまち政治が立ち行かなくなる。
アスハとセイランが婚約破棄なんかしたら氏家の歩調が乱れてしまう。
一番つらいのはカガリだと思っていたけど・・・
キサカは後ろを振り返った。
アスランが考え顔でパソコンを見ている。
『アスランも、相当つらいよな。』