ふたりの碧い想い
□第1章 紫色の謀り
2ページ/3ページ
カガリは会議場に入っていった。
アレックスは会議場の外の警護につく。
紫の髪の男が、視線をこちらへ向けて歩いて来た。
アレックスは視線に気付いたが、それを見ない様にする。
この男とは関わりたくないのに、今日に限って話しかけられた。
「いやぁ、アレックス。外の警護、ご苦労さん。」
猫なで声が癇に障る。
「はっ。」
アレックスは短く答えた。
「今日の会議は長いよぉ?昨日は夜遅かったろうに、大丈夫かい。」
ユウナは目を細める。
アレックスは怪訝な顔でユウナを見た。
「昨日は海岸で、お楽しみだったね。」
アレックスは目蓋を伏せる。
「何の事でしょう。」
「外では気をつけないとね。誰が見ているかわからないよ?」
アスランは拳を握り締めた。
ユウナはアスランの肩に手を置いて挑発する。
「まぁ、彼女は柔らかくて抱き心地がいいから、気持ちは分かるけどね。」
翡翠が歪んで瞳の奥に憎悪の影が差す。
アスランはカッとなってユウナの手を振り払った。
その時、ユウナのもう一方の手に握られていた荷物が床にゴトリと落ち、中の物が壊れたような音がした。
ユウナは大きなリアクションで頭を抱える。
「あー!!何て事をするんだ!」
ワザとらしく叫んだ。
「この中にはなぁ、貴重なハウメアの護り石の原石が入ってるんだぞぉ!」
何だか芝居がかった言い方。
前もって用意してあった台詞を読むように、ユウナは一気に言い切った。
「いいか、責任を取ってもらう。今夜9時に西海岸の洞窟まで来い。護り石の原石をお前に採ってきて貰うからな!」
アスランは訳も分からず口も挟めずにいる。
その内にユウナは会議場に入ろうとして、一度振り返る。
「カガリには言うなよ。」
一言添えて、パタンと扉を閉めた。
「・・・なんで会議にそんなもの持ってきてるんだよ。」
あっけにとられたアスランの声が空しく廊下に響く。