ふたりの碧い想い

□序章 男の傲慢
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「カガリぃ、いい加減そんな男の手、振り払えよ!」
ユウナは女々しい口調で独り言を言っている。

「いい加減にするのはあなたです。もう、帰りましょう!車、出してください。」
女は我慢の限界だった。

運転手は少し迷ったが、自分もこれ以上、覗きの片棒を担ぐのはゴメンだった。
これ幸いと車を出す。

女はため息をついた。
ユウナに婚約者がいる事は分かった上で付き合っている。
将来、オーブ代表になり得るユウナの恋人なら、一生日陰者でも悪くはないという打算の上で、今の関係を結んでいるのだから。
自分の家は、由緒正しいとはいえ小さな家系だ。
ユウナの愛人という地位は分相応だと考えている。

今までのユウナは婚約者にそれほど興味を示していなかった。
だが、婚約者が国の代表となったあたりから変わってきている。
婚約者が見目麗しいコーディネーターのボディガードを連れ歩く様になってからは尚更だ。

女はイライラして言う。
「ほおっておいても、あの子はあなたの物になるのですから、こんな下賎な真似、しないでください。」

「そんなことは分かっているさ!でもムカつくじゃないか!僕がカガリを抱き締めたらやんわり拒否してきたくせに、アレックスは全然拒んでない。生意気なんだよあのコーディネーター。」
ユウナの愚痴は止まらない。
「僕のカガリに触るな!あの見た目よりふくよかな胸は僕の物なんだぞ。」

女はユウナの手がいやらしく動くのを見て怪訝な顔をした。
「触ったこともないのに、そんなこと分かるんですか?」
女の認識としては、ユウナと代表の間には婚約者らしい事は何もない、はず。

「触ったんだよ、今日!」

女はユウナの言葉に驚いた。

「このままですむと思うなよ、アレックス・ディノ・・・。」

ユウナはガリッと爪を噛む。
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