ミモザの咲く頃に

□第6章 イザークの謀り
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「付き合っているんだよな?お前と彼女は。」
「あぁ・・・」

鋭いブルーの瞳が、アスランに厳しい視線を送った。
「なぜ見合いを止めに来なかった。」

アスランは苦い表情を浮かべる。
「何度も行こうとしたさ!でも、オマエとカガリの見合いがまとまる事は無いだろうと・・・」

「待っていたぞ彼女。何度も話にお前の名が出てきた。」

アスランは言葉を失って空中を見つめる。
(カガリ・・・)

「俺だから安心?なぜそんな事が言える。ちゃんと捕まえておかないと、どこかの男に持っていかれるぞアレは。」

イザークは言葉を選びながらアスランを挑発する。

「俺はカガリ・ユラ・アスハが気に入ったぞ。親族も早く俺に定められた人ができる事を望んでいる。」

目を見開いたアスランがガタッと席を立った。
「ジュール家にナチュラルの人を迎えるなんて、オマエの親族が受け入れるとは・・・!」

「今回の見合いに一番乗り気の大おばは、ナチュラルだ。」
イザークはアスランの言葉を途中でさえぎった。
「それに、カガリ・ユラ・アスハは結婚や婚約までは望んでいないようだった。ひとまずは正式な付き合いを申し込もうと思っている・・・結婚前提でな。」

アスランはテーブルの端に、微かに震える手を置く。
「・・・カガリとそんな話までしたのか?」

「あぁ。恋愛慣れしていないところが好感的だった。色恋の駆け引きをしてくる女はめんどくさい。」

動揺したアスランが声を詰まらせる。
「オ、マエ、オレ達が付き合っているのを知っているくせに・・・!」

しれっとイザークは返す。
「付き合っているとは知らなかったぞ。世界中の男どももお前らの事は知らんだろう。はっきりした態度をとらないと、彼女には見合い話がドンドン入ってくる。」

2杯目のスープを空にしたイザークが席を立ち上がる。
「もたもたしていたお前が悪い。」

アスランを見下すようにイザークが不敵な笑みを浮かべた。
「料理の礼に、チャンスをやろうか?」

歯を食いしばってアスランが繰り返す。
「チャンス?」

「来週、プラントとオーブで合同軍事演習がある。それにお前も出ろ。俺もその時もう一度オーブにくる。」

アスランが険しい目つきでイザークを睨む。

「久しぶりに、モビルスーツの模擬戦といこう。勝った方が彼女に正式な付き合いを申し込む。いいな?」

(一度、本気のお前と戦ってみたいと思っていた・・・!)
イザークが部屋から出て行く。

アスランはイザークの言葉を頭の中で繰り返す。
(何故わざわざ、そんなまどろっこしい事を・・・)

玄関の扉が閉まる音がしたとき、やっとアスランは事態を把握した。
「・・・オレ、イザークにはめられたのか!!?」

カガリに正式な付き合いを申し込む事になるかもしれない。
いや、そうしないとイザークが申し込むのかもしれない?

(でもイザークの奴、何処まで本気なんだ。)

アスランは友人の気持ちを図りかねた。


(つづく)
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