ふたりの夏やすみ
□第3章 キラとプログラミング
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出来上がった回路図を見ていたアスランはあることに気付く。
「これっ、音声認証機能だよ!」
「音声認証?何か言葉を確認してるってこと?」
「ハロがカナリアになる時、いつも同じ言葉を確認してるじゃないか!」
ふたりは同時に言った。
「「キラ、ハロは誰かが利口に改造した」」
ハロから不規則な電子音。激しくジャンプした後、目を金色に点滅。
でも今回、ハロは話さなかった。ただし、ハロの目の点滅は続いている。
アスランは夢中で考えている。
「この言葉でハロとカナリアが切り替わるんだね!」
でも、どうしてこの言葉なんだろう?
一方、キラはアスランの書いた回路図をじっと見る。一部分を指差した。
「ねぇ、コッチは通信機能じゃないかな?」
アスランはキラの指差した部分を見る。
「えぇっと・・・本当だ!」
アスランは回路図を指でたどりながら確認していく。
「ネット経由で、特定のアドレスにアクセスしてる。ハロは外部の機械と、音声の送信と受信をする!」
その後アスランは渋い顔になった。
「特定アドレスがどこかは、調べてみないと分からないや。ここの部品にアドレス情報が入ってるはずだけど。」
回路図を指差してアスランは言う。
キラはパソコンに向かい、手付きはたどたどしいが、かなりの速さでキーボードを打ち始めた。
「何かプログラミングしてるの?」
アスランは感心する、凄く早い。こんな早さで、僕はプログラムを作れない。
キラがプログラムを実行して、振り向いた。
「アスラン、これ、今のハロの通信ログなんだけど、どこのアドレスに通信しているかがわかったよ。ここの部分。」
パソコン画面を指差す。
アスランは指差されたパソコン画面を見たが、そこには0と1の数字が無数に表示されていた。
「キラ、機械語が読めるの!?すごい、僕はこういうの得意じゃない。キラはハードより、中身のソフトが得意なんだね。」
アスランは、キラがログを不法入手した事には気付かず、ほめてしまう。
キラは得意そうにニッコリした。アスランがほめてくれて凄くうれしい。
いつもはアスランに注意される事が多いけど、プログラミングがんばったら、もっとほめてくれるかな?
「通信先のアドレス、ハロのモノにそっくりなんだけど、他のハロと交信してたりすると思う?」
「確かに。このアドレス、ハロのと似てる。」
「・・・ナニ ガ ニテル ノ?」
キラとアスランはびっくりした。いきなりハロが話し始めたからだ。
アスランはハロに話しかける。
「ええっと、カナリア、質問してもいい?」
「ドウゾ・・・」
何だかハロの反応が鈍い。
「君って、ハロなの?僕の目の前にいるハロじゃないって言う意味でだけど。」
キラとアスランの目の前にいる山吹色のハロではなく、どこか別の場所にハロがもう一体いるはず。
キラとアスランが考えた仮説によるとそうなる。
だが期待しているのとは違う答えが返ってきた。
「ハロ ハ アナタ デショ?」
キラとアスランは視線を交わす。
カナリアから見たホークは、ハロ?
今度はキラがハロに話しかける。
「じゃぁ、カナリアは・・・何?」
「ワタシ ハ ニンゲン ヨ。」
キラとアスランは驚いた顔で、口を大きく開けたままお互いを見た。
(第4章へつづく)