桜が舞う龍の道

□嫌よ嫌よも好きの内
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「俺様、やっぱアンタが嫌いだわ」
「……そ」

何気ない言葉に呆気ない返事が返ってきた。
今日は部活も無く暇で同じく暇な人間に声をかけた。暇だったらファミレス行かない?…と。
仲は良くない。簡単に言えば、あなたと私は友達じゃないけど〜私の友達とあなたは友達〜大体そんな感じ〜♪だ。
目の前に座る眼帯男はストローをくわえたまま携帯をいじる。
俺様は何となく肘をテーブルに乗せて見つめる。

「んだよ。それ言うために俺を誘ったのかよ」
「ん〜どうだろ。つか、竜の旦那は何で俺様の誘いに乗ったワケ?」
「…お前が嫌いだから」

眼帯男のジュースが空になりズズッ!と響いた。無くなったのを確認してジュースを取りに行った。

(理由になってねぇよ…)

溜め息を吐く様に肺にある酸素を全て鼻から出し外を見つめる。

「いい天気だなぁ…」
「爺クセ」

ボソッと呟くと目線を合わせず眼帯男は俺様の前に座る。

「小腹減ったな…パフェでも食お」

イチゴパフェを頼み眼帯男はまたストローを口にくわえ携帯をいじる。
パフェが来るとスプーンを持ち何も発さずパフェを口に運ぶ。
沈黙は眼帯男がパフェを食べ終わるまで続いた。

「ところで、何で俺を誘ったんだ?幸村とかいただろ」
「旦那は部活無い日は自主練する人だから」
「熱血馬鹿だしな。小十郎は畑仕事してたから無理だな。にしても、変人だな。嫌いな人間誘うなんて」
「変人はアンタもそうだろ。嫌いな俺様の誘いに乗るんだから」
「HA!乗ったんじゃねぇ“乗ってやった”んだ。勘違いすんじゃねぇよ」
「つくづくアンタは腹立たせるのが上手いねぇ…」
「昔からだ」
「本当、俺様はアンタが嫌いだ」

嫌い、嫌い。俺様の心を奪っていったアンタが。今も昔も変わらず俺様の全てを独り占めしたアンタが。

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