Operation
□成長痛
1ページ/1ページ
♪〜ブリブリ〜ブリブリ〜アッチョンブリ〜ケ〜
今、俺の膝の上でノリノリで歌っているこのお嬢ちゃんはブラックジャック先生の娘であり(自称)奥さんだ。
最近先生は危険な場所へ仕事に行ってるらしくてね、よくお嬢ちゃんを俺に預けている。
あまり寂しい思いをさせるんじゃないよ、先生。
それに、こんな殺し屋の出来損ないに大切な奥さんを預けていいのかい。
「キイコちゃーん、いつ先生帰って来るかちらねー」
「寂しいのかい、奥さん」
「そりゃー寂ちいわよ。れも、キイコちゃんがいるからちょっとばかしマシよ」
最初は俺の事を「殺し屋の出来損ない」だの「シスコンおじさん」だの呼んでいたが、今はすっかり懐いて「キリコちゃん」と呼んでくれる。
といっても、お嬢ちゃんは滑舌が悪いからね。
キイコちゃん
になってしまう。
18歳といってもまだまだ子供だ。
俺が構ってやれない時も寂しくならないように欲しいと言った物は何だって与えてやった。
ライバルの奥さんに俺は一体いくら貢いだのだろうな。
「奥さん、何か欲しい物はあるかい」
「んーとねぇ…」
しばらく考え込んだ後、奥さんは一気に話し始めた。
「欲ちい物かどうかは分かやないけど、ブラックジャック先生に好きって言って欲ちいのよさ」
照れくさそうに話す
「そえとね、いつかは先生との赤ちゃんが欲ちいのよさ」
お嬢ちゃん、それだけはあんたに与えてやれそうにないぜ。
そして、その夢はもしかすると一生叶いそうにないのだ。
穢れない瞳で笑う奥さんを見て、心臓が痛くなった。