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□反則も悪くないなと思いました
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………とは言ったものの…



「…誰も見つかりません」



與儀くんすら見つけられないのは屈辱です。きっと隠れるの上手くなったんですね!



「…困りました」



残り10分しかない。

このままじゃ、花礫くんからお返事聞けなくなっちゃいます…




「……………羊さん?」

「どうしたメェ?あと10分メェ」

「…花礫くんの居場所、教えて下さい」

「ダメだメェ。それはルール違反メェ」

「お願いします!」

「ダメだメェ」

「………」



どうしましょう…

最終手段もダメでした…


あと5分しかない…

見つけられなかったら…花礫くんからお返事聞けない…


…花礫くんは私が見つけられないと思ったからこの提案をしたんですよね……

もしかして、花礫くんは………


私のこと、嫌い…?


そう思った瞬間に胸がきゅーっと締め付けられるみたいになって、苦しくなった。

私がただ、勘違いしてただけ…?


そうですよね、花礫くんは、私に何も言ってないですし……


……お返事、聞かない方が良い…ですかね…



胸が痛くて、苦しくて、視界が歪んできた。



「あ、あれ…?」



私……泣いてる…?


まさかこんなことで泣くなんて…

そうは思っても涙は止まらない。



「泣いてるメェ?」

「メェ」

「メェ」



羊さんが集まって来ちゃいました…

こんなとこ見られるなんて恥ずかしいです。



「そんなに居場所教えてほしいメェ?」

「……いえ、良いんです、すみません…」



もう、良いんです…




制限時間、残り…1分…



「メェ」

「メェメェ」

「メェ」

「メェ」

「…羊さん?」

「メェ。花礫が見つかったメェ。急いで運ぶメェ」

「え?きゃあっ!」




羊さんの角に捕まれ、凄い勢いで運ばれる、そして……




「…っ、ビビった…」

「花礫くん…?」

「残り10秒メェ。早く宣言するメェ」

「え、あ、花礫くん、見つけました…」




私が宣言したと同時に、かくれんぼ終了の合図があった。



「かくれんぼは終了メェ。見つけたって言われなかった人を探してくるメェ」



羊さんが飛んで行っちゃうと、残されたのは私と花礫くんだけ…

き、気まずいです…

私、泣いたままですし…




「……あれ、反則だろ」

「………そう、ですね」



今花礫くんと話すのが怖い。

さっきまで思ってたことが頭をよぎるから…
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