short

□照れ隠しと思ってもいいですか
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「………」

「………」




キイチちゃんから逃げるために、手を引かれ走ってきたは良いものの……

会話がなくなっちゃいました。



手はまだ繋がれたまま…


ずっとこのままでも良いけど、花礫くんに申し訳ない。
手を離すタイミングを逃しちゃったんですよね!きっと!


でも、やっぱり手は離したくない…



「…お前さ」

「はい!」



花礫くんから話題をふってくれるなんて珍しい!



「…足、本当に大丈夫なの?」

「え?大丈夫ですよ?」

「なら良いけど。キイチがあんなに必死だからすげー怪我でもしてんのかと思った」

「ですから、キイチちゃんは優しいから心配性なんですよ!」

「……優しい、ねぇ」

「はい!キイチちゃんは優しいんです!」



花礫くんと同じで。

その言葉は言えませんでしたけどね。




「あ、こんな所まで来たからお店減っちゃいましたね。花礫くんも何か買うものありますよね?付き合いますよ!」

「いや、別に」

「買うもの、ないんですか?」

「ああ」

「………それなのに、私についてきてくれたんですか?」

「……っ、誘ったのはお前だろ」

「わっ」



ふいっと顔を反らして、また私の手を引いて歩き出す花礫くん。

突然強く引かれたからビックリしました…
さっきよりも少し雑になった花礫くん。

前に出るときに見えた横顔が赤かったのは気のせいじゃないですよね…?


これは、

照れ隠しと思ってもいいですか?


end


(…花礫くん、可愛いです)

(はぁ!?)

(あ、すみません!声に出ちゃいました)

(…………)

(す、すみません…)

(…ほら、早くしねぇと艇に戻る時間だろ。…行くぞ)

(…はいっ!)



やっぱり花礫くんは優しいです!
 

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