short

□正直こういう展開を待ってました
1ページ/1ページ


「もうすぐパレード始まるみたいですね」



いつも参加する側だから、客観的に見るのはとても新鮮です。




「あんま近くで見たらバレんぞ?……てか、お前勝手に艇降りてんだよな?でも俺、艇降りるためにツクモには話しちまったぜ」

「ああ、ツクモちゃんは大丈夫です。私もツクモちゃんには花礫くんと出掛けると言っているので」

「なら別に見つかっても大丈夫か」

「いえ……」

「なに?なんかあんの?」




ツクモちゃんには困った顔させちゃいましたが、大丈夫。
ニャンペローナなら強制は出来ない。平門さんは呆れるだろうけど、連れ戻すなんてことはしないはず。


…ただ、問題は…




「フィオナさんっ!?どうしてこんな所にいるんですぅっ!?」




あ……一番見つかっちゃいけない人に見つかっちゃいました…




「…なんでキイチが怒ってんだよ」

「…キイチちゃんと任務に行っていたときに足を痛めてしまったので……キイチちゃんは優しいから凄く心配性なんです」

「は?優しい?何が?」




キイチちゃんが心配してくれるのは凄く嬉しいですが…




「パレード休んでショーも休んで安静にしてるかと思えば、なんで花礫さんとこんな所にいるんですぅっ!?さっさと艇に戻って休んでて下さいっ!」





せっかく花礫くんと出掛けられたのに、もう戻るなんて嫌です!




「やっべ、あいつ、こっち来るぞ!走れるか?」

「は、はい!大丈夫です!」

「よし、逃げんぞ!」




そう言って繋がれた手。


私の手を引いて走る花礫くん。




「ちょっとぉっ!?なんで逃げるんですぅっ!?フィオナさんもその足で走らないで下さい!花礫さん!待てって言ってんですよぅっ!!」




引き止めようとするキイチちゃんの気持ちは嬉しいし、申し訳ないと思うけど…



私の手を引いて走る花礫くん……

私を、艇に戻さないために…




…不謹慎ですが




正直こういう展開を待ってました


end


(なんでキイチから逃げるのか意味が分かりません!?)

(まあまあ、キイッちゃん。2人はきっとデート中なんだよ)

(デートぉっ!?そんなの余計に行かせるわけにはいきません!フィオナさんには今すぐ艇に戻ってもらいますぅっ!!)

(大好きなフィオナちゃんを取られたからって嫉妬しないの)

(だ、だだだ、誰がフィオナさんを好きなんですぅっ!?喰くん!適当なこと言うのやめていただけますか!?)

(はいはい)

(も〜っ!これだからドヘマ隊はぁ!!フィオナさんは絶対安静にさせとけですぅっ!!)
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ