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□正直こういう展開を待ってました
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「もうすぐパレード始まるみたいですね」
いつも参加する側だから、客観的に見るのはとても新鮮です。
「あんま近くで見たらバレんぞ?……てか、お前勝手に艇降りてんだよな?でも俺、艇降りるためにツクモには話しちまったぜ」
「ああ、ツクモちゃんは大丈夫です。私もツクモちゃんには花礫くんと出掛けると言っているので」
「なら別に見つかっても大丈夫か」
「いえ……」
「なに?なんかあんの?」
ツクモちゃんには困った顔させちゃいましたが、大丈夫。
ニャンペローナなら強制は出来ない。平門さんは呆れるだろうけど、連れ戻すなんてことはしないはず。
…ただ、問題は…
「フィオナさんっ!?どうしてこんな所にいるんですぅっ!?」
あ……一番見つかっちゃいけない人に見つかっちゃいました…
「…なんでキイチが怒ってんだよ」
「…キイチちゃんと任務に行っていたときに足を痛めてしまったので……キイチちゃんは優しいから凄く心配性なんです」
「は?優しい?何が?」
キイチちゃんが心配してくれるのは凄く嬉しいですが…
「パレード休んでショーも休んで安静にしてるかと思えば、なんで花礫さんとこんな所にいるんですぅっ!?さっさと艇に戻って休んでて下さいっ!」
せっかく花礫くんと出掛けられたのに、もう戻るなんて嫌です!
「やっべ、あいつ、こっち来るぞ!走れるか?」
「は、はい!大丈夫です!」
「よし、逃げんぞ!」
そう言って繋がれた手。
私の手を引いて走る花礫くん。
「ちょっとぉっ!?なんで逃げるんですぅっ!?フィオナさんもその足で走らないで下さい!花礫さん!待てって言ってんですよぅっ!!」
引き止めようとするキイチちゃんの気持ちは嬉しいし、申し訳ないと思うけど…
私の手を引いて走る花礫くん……
私を、艇に戻さないために…
…不謹慎ですが
正直こういう展開を待ってました
end
(なんでキイチから逃げるのか意味が分かりません!?)
(まあまあ、キイッちゃん。2人はきっとデート中なんだよ)
(デートぉっ!?そんなの余計に行かせるわけにはいきません!フィオナさんには今すぐ艇に戻ってもらいますぅっ!!)
(大好きなフィオナちゃんを取られたからって嫉妬しないの)
(だ、だだだ、誰がフィオナさんを好きなんですぅっ!?喰くん!適当なこと言うのやめていただけますか!?)
(はいはい)
(も〜っ!これだからドヘマ隊はぁ!!フィオナさんは絶対安静にさせとけですぅっ!!)