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□ようやくこの日が
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「…逃げないフィオナを、與儀は逃げると思って………ああやって抱き締めて引き止めた訳か」
「うーん、みたいだね」
「でもあの2人さっきから全然動きもしないし、喋りもしないんだけど…」
「状況を把握しようとしているか、もしくは思考停止中、だろうな」
「……後者っぽいな…」
抱き締めるまで行ってなんでここで行き詰まるんですぅっ!?
お互いが鈍感すぎですぅっ!
イライラとしたまま成り行きを見ていると、やっと言葉を発したのはフィオナさん。
「あ、あの…っ、與儀…?」
「ふぇっ!?あ、え、えと、ななな、なにかなフィオナちゃん…?」
「ど、どして、だ、だきっ、抱き、締めてるの…?」
「………また、フィオナちゃんに逃げられると思って…。俺、フィオナちゃんに嫌われて避けられてるのか聞きたくて…だから、無理矢理にでも捕まえて、話し合えって………………喰くんに言われて…」
「え、僕のせいにするんだ」
「元はと言えば喰くんがそうアドバイスしたからなんですからぁ、当然ですぅ」
「ちょ、あいつらの会話聞こえねーだろ!黙ってろ!」
なんなんですぅっ!?
花礫さんにそんなこと言われる筋合いはないですぅっ!
…なんて言えば花礫さんはキレて、フィオナさんたちにバレますから、そんなこと言わないですけどぉっ!キイチは大人ですからぁ。
「わ、私っ、與儀のこと嫌ってなんかないよ!むしろ好………っ、あ、いや、何でも、ない…」
「何で言わないんですぅっ!?」
「何で言わねーんだよ!?」
不本意ですが、花礫さんとハモっちゃいました…
でもそう思うのは当然ですぅっ!どうしてあそこまで言って止めるんですぅっ!?
「…フィオナちゃん、俺のこと、嫌いだから避けてたんじゃないの…?…よ、良かった〜!」
「今ので何で気付かねーんだよっ!?」
「今ので何で気付かないんですぅっ!?」
「花礫とキイチちゃん、仲良しだね!」
「どこがですかぁっ!?」
「どこがだっ!?」
同じこと言う花礫さんも、仲良しとか言う无さんも、本当にイライラしますぅ…なんなんですかもうっ!
「き、嫌いになるわけないよ!」
「はぁ〜、本当に良かった〜!安心したよ!俺フィオナちゃんのこと好きなのに、嫌われてたら凄いショックだからね!」
「………え?」
「あ」
「うそだろ…」
「言っちゃった…」
「くくく…」
「なに今の…」
「……っ!」
し、信じられませんっ!!
散々もどかしくキイチたちをイライラさせておいて、あんなにあっさりと告白するなんてぇっ!!