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□舐める
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「ったく、怪我ばっかしやがって……戦ってる與儀たちより怪我する頻度高ぇってどういうことだよ」

「そんなに怪我ばっかしてないよ!今回はたまたま切っちゃっただけで…」

「それ前も聞いた。つか、こんなに傷残しといてよく言えるな」

「うぅ…」



フィオナの手を掴み、目の前に突きつけてやれば、フィオナは気まずそうに目をそらした。


手当てした手は傷だらけだ。

古いものから、まだ生々しいもの。



こんな小せぇ手で、俺と同じことやってんだよな…

こんな小さくて細い手で…



そう思ってフィオナの手に口づけた。びくりと反応するのが面白い。


「こんな新しい傷もあるのにたまたま、ね?」

「き、傷の治りが遅いだけで、最近の傷じゃないよ!…て、ていうか、花礫、手…っ!」



俺から逃げようとするその行動が気に入らなくて、新しい傷がある指に移動し……舐めた。



「っ!!!」



抵抗しないのを良いことに、そのまま違う指を舐める。


古い傷から新しい傷、さっき出来た傷も全部。



「が、れき…っ」

「なに?」

「な、なにじゃなくてっ!…っ」

「は、なに?感じてんの?」

「〜〜〜〜〜っ!!」



パクっと指を加えれば、顔を真っ赤にして俯くフィオナ。



…こいつ、こんなに可愛かったっけ…?

普段は機械ばっか弄って、全然女らしくないのに…


今、俺の前にいるフィオナは……



「花礫の……っ、バカァァァァァァァ!!!」

「ぃってぇっ!」




…こいつ、頭突きしてきやがった!!
可愛いとか思っちまった俺を殴りたい。



「てっめー何して………っ!」




……本当に、何してんだよ…



フィオナは涙目で俺を睨みながら、新しい傷のある指を加えていた。


…いや、俺が舐めたから痛かったんだろうけど…っ!!




「お前…それ間接キスだろ…」

「……………なっ!!」




どこまで鈍いんだよこいつは…


ここまでやれば、流石に俺の気持ちにも気付くかと思ったが…期待出来そうにねーな。



…本当に、何でこんなバカ好きになっちまったんだか。


end


(間接キス…)

(お前が自分でしたんだからな)

(………)

(…そんなに嫌かよ)

(……嫌、じゃない)

(は?)

(花礫と、間接キス、しちゃった……えへへ)

(っ!!お前、それ反則だろ…)


鈍かったのは俺も同じ、ってことか。
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