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□唇に触れる
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「與儀、無理しないで下さい…。役に立たないかもしれないけど、危険な仕事は私が行きますから、貴方が無理する必要なんかないんですよ…」
そう言いながら、與儀の傷に触れた。
手当てされた顔の傷に触れると、胸が痛んだ。
「私が、與儀を守れるくらい強かったらこんな傷負わせないのに……守るどころか、大事なときに側にいることも出来ない…」
頬から切れた唇へと指を寄せる。
そしてゆっくりと唇に触れる。
「もっと、貴方に触れたい。でも、弱い私にはそんな資格もないですよね。寝ている貴方にしかこんな風に触れない」
唇に触れていた手を放し、自分の唇を寄せた。
くっつかないギリギリの所で止める。
「……いくら好きでも、寝ている貴方に勝手にこんなこと出来ないですね」
苦笑してゆっくり離れようとしたら、いきなり後頭部に手が回された。
「ん…っ!」
そのまま引き寄せられ、触れる唇。
動けずにいると、しばらくして唇を離された。
「…よ、ぎ…?」
「…………フィオナちゃん」
今、私は、與儀に…キス、された…?
「…何で…?」
「好きなら、触れて?」
「え…っ」
「側にいたいなら、側にいて、。ずっと俺の側に」
「與儀…っ」
「資格なんか、必要ないよ」
…聞かれてた…?
全部、全部全部全部聞かれてた…っ!!
「いや…っ!
逃げようと身体を引けば、逆に引っ張られて與儀の胸に引き寄せられた。